マフィア戦隊ボンゴレンジャー 第二章
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司令官…いや、リボーンはほんの少し前まで自分の星で暮らしていた。

けれど、それは唐突に起った。

リボーンの父親が倒れたのだ。

彼はその星の王で。みなから9代目と呼ばれていた。

自らの死期を悟った9代目は宣言した。


息子であるリボーンを10代目として自分の座を告がせると。


「それで…どうして星から出たのですか?…まさか暗殺されかけたとか!?」

王位継承となればどこの世界でもそれを快く思わない輩もいるだろう。彼はその犠牲者なのだろうか。


「…もしそうだったら、まだ格好も付いたんだけどな…」


「…!?」

新たに現れた第三者の声。それはボンゴレブルーも知らない声で。

「おや。親方様」

現れた親方様と呼ばれる人物は厳つい、豪快という言葉がいかにも似合いそうな大男。

「聞いてくれよぉそこの少年ー」

男は溜め息を付きながら初対面のはずなのに何故かフレンドリーな態度でボンゴレブルーに愚痴を零すように話しかけてくる。

「こいつよー、親父がぶっ倒れたってのに王位を継がせるって言われたのにその後どうしたと思うよ」

「え…?どうしたって…」

ちらりとボンゴレブルーはリボーンを見る。

なんだかこの人が真面目に王位を継ぐとは思えなかった。

「その…断った、とか…?」

「惜しいな。こいつ部屋を出たあと「めんどくせー」って一言言って、その15分後には星から飛び出しやがった」


リボーンはとんでもないほど行動派だった。


「…王位は弟に継がせればいいだろう。オレは気ままにやらせてもらう」

「あ、弟さんがいるのですか。リボーンさん」

「お前も知っている相手だぞ。獄寺」

「え?」

誰だろう…というかリボーンの弟というぐらいだからこの星の人間ではないのだろうが獄寺には全く思い浮かばない。

「リボーンさんの弟君はザンザスでありますよ隼人殿」

考え込むボンゴレブルーにバジルが答えてくれたが…そのまさかの人物に思わず思考が止まるボンゴレブルー。


予想外すぎてなんでバジルが自分の名前を知っているのかという突っ込みを放棄したぐらいだ。


「ざ……えぇ!?」

ザンザス。それはあのヴァリアーのボスにして…リボーンを目の仇にしていた男。

まさかそんな因縁があったなんて…とボンゴレブルーはショックを受ける。

「王位を継ぐならあいつの方が相応しいだろ。意欲もあるし」

「…相応しい?リボーンさん、それはどういう…」

「オレは9代目の側女の子供だ。そしてザンザスは本妻の子供…オレの方が早く生まれちまったがな」

「はぁ………あれ?でも…なら?」


ボンゴレブルーは思う。

なんでザンザスはリボーンを追って来たのだろう。

どんな理由であれ、リボーンが星を去ったのだ。王位を継ぐ絶好のチャンスだと思うのだが…


「ああ、確かにザンザスはリボーンのいない間に10代目になろうとしていた。が…」

「国民はザンザスを受け入れませんでした。…というよりも、リボーンさんこそが10代目に相応しいと。そう仰ったのです」

ボンゴレブルーの疑問に男とバジルが応える。

「………」


それに少しだけ俯くリボーン。

「そして…ザンザスはやがてこう考えるようになったのです。…9代目も、兄であるリボーンをも始末すれば…自分が王になれる…と」

「そんな…」

「ま、あいつは昔からオレの事を嫌っていたからな。それに押さえが利かなくなっただけだろう」

「リボーンさん…」


淡々と無感情に告げるリボーンに、ボンゴレブルーは切なくなる。

例え半分だけでも、血の繋がった兄弟なのに。なのに怨まれ…あまつさえ命を狙われて。

しかもその事を全くと言って良いほどリボーンは気にしてなかった。弟に殺意を向けられているという事実を迎え入れていた。


「―――まぁ、それはともかくだ。星は今指導者がおらず騒然としていて…」


「いや、たぶん別の意味で騒然としているんじゃねーか?」

「…あ?」


男の言葉を遮るようにリボーンは何故か楽しそうに言ってくる。男は何故か嫌な予感がした。


「お前…何をしやがった?」

「別に?ただ、ヴァリアーの連中をザンザスごと国に送り返した。ただそれだけだ」

「な…!」