マフィア戦隊ボンゴレンジャー 最終章
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「う…?」

「あ。起きた」

ボンゴレブルーが目を覚ますと、そこは薄暗い廃墟だった。

未だ意識のはっきりしないボンゴレブルーの眼前には眼帯の印象的な女の子。

「骸様ー。獄寺隼人氏が起きましたー」

しかし彼女の方はボンゴレブルーにこれと言って関心はないらしくとてとてとどこかへ走って行った。

ひとりぽつんと取り残されたボンゴレブルーはその間状況を判断してみようと試みる。


(オレ…そうだ、リボーンさんと話して…でもホテル出されて…えーと…)


そこから…そこからの記憶が曖昧だ。誰かに声をかけられたような気もするが…思い出せない。

自分はどうなってしまったのか。そしてここは一体?それに彼女は…?

途切れた記憶。見知らぬ場所。覚えのない人間。気を失っていた自分。それらを総合して考えたボンゴレブルーの結論は…


「クフフフフ…目が覚めましたか?隼人くん…」

そのとき部屋に入ってきたのは…やはり見に覚えのない青年。彼は何故かいやに嬉しそうで。

「誰だ…?それにここは…一体…」

「クフフ…誰だと思います?」

ぼんやりと問いかけるボンゴレブルーにもその青年の態度は変わらない。むしろ笑みが増していて。

けれどそんな彼の怪しい笑みにもボンゴレブルーは意にも返さず。言われるがまま問われるがままその質問を考える。

「えーと…」


自分は確か街を歩いていた。



けれど記憶が曖昧。



しかも何故か気を失っていた。



オレもしかして貧血か何かで倒れた?



この人たちはそんなオレを助けてくれた。とか?



お礼を言わなくては。


「どうもありがとうございました」

「いえいえ。どう致しまして」

「骸様。どう考えても彼は状況を誤解しています。拉致られてお礼を言う人間はそうはいません

拉致?

ボンゴレブルーは首を傾げた。拉致?連れ攫い?…誘拐?

「お前ら…?一体…?」

「クフフ、隼人くんのことが大好きな善良な市民その一。ですよ」

「骸様。そんな明らかにどう考えても違うであろう自己紹介はどうでも良いですけど、招かざる客人が来ましたよ」

「おや。どなたです?」

「ボンゴレンジャーです。…行方不明とされていた司令官も一緒ですね」

「司令官…?リボーンさんか!?リボーンさんが今ここに!?」

リボーンが近くにいる…そう思うとボンゴレブルーは思わずそう声を出していた。

そんなボンゴレブルーを快く思わないのは、自称善良な市民その一こと、六道骸その人。

「うーん、そんな恋する乙女全開な表情の隼人くんはとても可愛らしく愛おしいとは思うのですが…」

気付けば、骸は禍々しい凶器を手にしていて…


ザシュ…


「え…?」

そのまま、ボンゴレブルーの肌に切りつけた。

唖然とするボンゴレブルー。彼の意識があっという間に消えて行く。

「僕を見て下さい。隼人くん」

ボンゴレブルーの意識はその声を聞くと同時に、闇に塗り潰された。


++++++++++

獄寺くんが傷物に。