マフィア戦隊ボンゴレンジャー 最終章
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「ここに…獄寺くんが?」

「ああ」

リボーンとボンゴレンジャーが辿り着いた先にあったのは…見るも無残な遊園地跡。

その建物の元の名は…黒曜ランド。

「なんで…こんな所に獄寺くんが?」

「そこまでは知るか。本人に聞いたらどうだ?」

「え…?」

「獄寺。そこにいるんだろ?」

リボーンがそう言ったかと思うと。


ガサ…ッ


木陰から現れる影一つ。

出てきたのは今まで探していたボンゴレブルー本人。

何故かボンゴレブルーは、彼に似つかわしくない静かな笑みを浮かべていた。

「獄寺くん…!」

そんなボンゴレブルーに飛びつこうと前に出たのは、ボンゴレレッド。

「良かった、無事だったんだね!もう、オレがどれだけ心配したと…!」

ボンゴレレッドは余程安心したのか目尻に涙さえも浮かばせてボンゴレブルーに抱きつこうとする。


―――いつもならばここでボンゴレブルーがボンゴレレッドに抱き付かれて。


それからボンゴレブラックやらボンゴレグリーンにやらに茶々を入れられたり邪魔をされたりしながらもボンゴレレッドはボンゴレブルーを離さないで。

そんなほのぼのな空気の中みんなでボンゴレ基地に帰る…それがいつもの光景だった。

けれど。

ひょいっとボンゴレブルーは右に避けて。

まさか避けられるとは夢にも思ってなかったボンゴレレッドは思いっきり地面に転んで。

「ご…獄寺くん…?」

「オレに…触らないで頂けますか?」

困惑するボンゴレレッドに対し、冷たいボンゴレブルーの言葉。

ショックを受けるボンゴレレッド。しかしそれすらも意にも返してない様子のボンゴレブルー。

「オレに触って良いのは…ただひとり。ですよ」

「それは…誰だい?」

ボンゴレブラックの静かな問い。それに答えたのはボンゴレブルーではなかった。

「僕ですよ」

ボンゴレブルーの背後から現れたのはパイナポーな髪形の男。

彼は馴れ馴れしげにボンゴレブルーの肩に手を回すが、当のボンゴレブルーはなんの抵抗もしない。

それどころか深く笑みを増すばかりで。

「…隼人に何をしたの?」

静かな怒りのボンゴレブラック。しかしその威圧感もものともせずにパイナポーはクフフと笑う。

「クフフフフ…さぁ。何をしたのでしょうね?」

「隼人を…返してくれるかな」

「返す?おやおやおかしな事を言いますね。彼は自ら望んでここにいるのですよ?」

「嘘だね」

「嘘じゃないですよ。…ね。隼人くん。僕にキス。…して頂けますか?」

とんでもない一言を放つクフフ。

しかしそれにみなが唖然とするよりも前にボンゴレブルーはクフフの首に手を回して…

「ちょ、隼人本気!?」

ボンゴレブラックが制止の声をかけるも虚しく、ボンゴレブルーとクフフの距離があと数センチになる。

それでも止まる事無く近づく二人の距離。そして…


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大きく振りかぶる影がひとつ。