ボンゴレ研究員パラレル
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翌朝、オレはリボーンさんの部屋へと向けて足を運んでいた。

…リボーンさんの姿がどこにも見当たらないからだ。いつもならば適温に保たれている研究室で寝ているはずなのに今日はいなかった。

ちなみにリボーンさんの携帯にかけても見たが、目の前に置いてあった携帯が振動してきたので即行で切った。

…それで、今、オレはあの人の自室の前に来ている。…思えばここに来るのは初めてだ。

そっとノックをしてみるが…はて。中からは何の反応もない。無人だろうか?

ノブに手をやって回してみると、鍵は掛かってなかった。…確認を取るだけ、と自分に言い聞かせて開け放った。


思ったよりも広い室内、そして本の山。

ベッドは無人で、代わりに…様々な資料の山が積まれてるデスクに人影がうつ伏せっていた。

「リボーンさん…?」

呼びかけてから、違うと分かった。

だってリボーンさんにしては小さすぎる。子供…というより、大きさは赤ん坊のそれだ。

けれどならば…誰だ?なんでこんな所に赤ん坊が…?

そっと覗きこんでみると……


………………。


……は、うっかり意識が飛んでしまった。いけないいけない。

ともあれ、オレが覗き込んだ先には想像していた通りに赤ん坊が小さく寝息を立てていた。

オレが固まって動けないでいると、その赤ん坊は自分から目を覚ます。…大きくてくりくりとした黒い眼にオレが映っていた。


「なんだ獄寺か。どうしたこんな所で。…ああ、そうか、もう朝か。悪い寝坊した」


その口からいきなりオレの名前が出てきたことには驚いたが、きっとリボーンさんから聞いたのだろう。…リボーンさん、この子にオレのことなんて説明してるんだろうか。

「何だよ。そんなにオレが寝坊したのが珍しいのか?まぁ、いつも朝はちゃんと来ているからな。その後二度寝しているが」

赤ん坊はオレが動かないのに不審を覚えたのか、オレの目の前に手の平を出してひらひらして見せた。紅葉を思わせる小さな手。それを見てオレは正気を取り戻す。

「…は!あ、あのすいません!」

「?」

くりっと目の前の子は小首を傾がせる。…というか赤ん坊相手に敬語を使うオレ自身にびっくりだ。

だがそんなことよりも何よりも、オレにはやりたいことがあった。これは最早衝動と呼べるかもしれない。

「その…あの、初対面の方にこんな事を言うのは無礼だというのは重々承知なんですけど!」

「は?」

「その…ぎゅって!抱き締めても宜しいでしょうか!!!」

「………」


無言で一歩下がられた…orz


「獄寺…お前、大丈夫か?朝っぱらから寝惚けてんのか?それともオレが寝惚けてるのか?」


しかも赤ん坊に心配されてしまった…!


だけど…だけどっ可愛いんだよこの子!でも我慢だオレ!!

「うう…すいませんいきなり…そうですよね、ひとりは不安ですよね…分かりました!一緒にお父さんを探しましょう!」

「はぁ?」

「全く、リボーンさんも酷いですよね!こんなに可愛いお子さんがいらっしゃるなら紹介してくれれば良かったのに!」

「いや、お前…さっきから本当何言ってるんだ?」

「リボーンさんの許可があればきっとあなたをぎゅーも抱っこも出来ますよね!待ってて下さいリボーンさん!今から草の根分けながら探させて頂きます!!」


「聞けよ人の話を」


++++++++++

ちったくなったリボーンさん。