声の出ない獄寺くん
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拝啓 10代目
オレ、声が出せなくなりました。
「襲われたんだってな」
聞こえてきた声に顔を上げれば、そこには愛しい小さな黒い影。
そうなんですよ。
こくん。と頷く。この人には筆談をする必要がなくて助かる。
「捕まえたのか?」
オレを襲った奴のことだろうか。そいつならばオレを襲ったのち姉貴に見つかり天罰が下り昇天した。
捕まりました、と首を縦に振ったらリボーンさんはちょっと残念そうな顔をした。
「オレが報復したかったんだけどな」
そんなこと言われても困るんですけど。
って、そんな、じっと見つめられても困りますって無理ですオレにどうしろってんですか!!
とか思っていたらリボーンさんがオレに近づいて、喉下を撫でてきた。
「見事に潰されてるな」
見事に潰されてしまいました。
オレは自分が不甲斐なくなって。少し俯いた。
それは夜のことで、ついでに突然のことだった。
突如として現れた殺気。そして悪意に敵意。
振り向いた途端に首に指が伸びてきて、握り締められた。
こんなことされる心当たりならたくさんあるので、自業自得と言えなくともないが。
オレ個人に恨みのある者、オレがボンゴレの構成員だから、10代目の右腕を目指してる、あと…
…オレがリボーンさんの恋人だから、とか…
…いかん。自分で言って照れてしまった。
「どうした?」
なんでもないですっ!!
無駄に背を張ってそう言うと、リボーンさんはやれやれとため息を吐いた。
いかん。絶対ばれてる。
「…なんにしろだ」
と、リボーンさんはぴょんとオレの胸元に飛び込んできた。
?
「お前、人と話す度にいちいち紙に書いていくの面倒だろう。オレが通訳になってやる」
そんな!リボーンさんに手間をかかせるわけには…!!
「オレがやりたくてやるんだ。それともお前は迷惑か?」
滅相もないです!!
「なら決まりだな。…素直に甘えとけ。恋人が大変なときに、助けようと思わない男はいねーんだぞ」
さらりとリボーンさんの口から出てきた"恋人"という単語に、オレの心音が一オクターン程上がって高鳴る。
「それにオレにも関わりがあるかもしれないことなら、なおさらな」
やっぱりばれてた。
だけどオレとしては、リボーンさんの恋人という理由で狙われたのなら。少しだけ嬉しい気持ちも出てきたりするんですけど。
なんて言ったらこの人は怒るだろうから、言わないけど。
でもやっぱりそのことも、この人にはばればれなんだろうけど。
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そんなお前が可愛いということに、お前は気付かない。
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