声の出ない獄寺くん
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9代目から話を聞き終わった。

やはり…あいつが襲われたのにはオレとの関係も関わりがあるらしい。

逆恨みもいいとこだが、だがこれがこの世界だ。

…これを機に、あいつはオレから離れるかも知れないな…

それは、それで構わない。今までの愛人もそうだったしな。

…いや、ビアンキだけは獄寺が告白してくる少し前に自分から別れていったか。

ともあれ、獄寺をどうしたものか。

オレとしては獄寺のフォローに回りたいんだが…あいつにとってそれは重荷かも知れない。


「………あら、リボーンじゃない」

と、通路の向こうからビアンキがやってきた。

…さっきすれ違ったときも思ったが……なんであいつ、あんなに怒ってんだ?

「…?リボーン。隼人は?」

「一人で自室に戻ってる途中だぞ」

「な…!」

ビアンキの目の色が変わる。

「何てことしてるのよリボーン!隼人を一人にするなんて!!」

「…オレはさっきまで9代目と話してたんだ」

「だからって隼人を一人にしていい理由にはならないわ!」

…だから、こいつは一体何を怒ってるんだ?

「……隼人はね…貴方が来るまでずっと…誰がなんと言おうと部屋から出て来ようとはしなかったのよ!?」

―――――!!

オレが言葉を発せないうちに、ビアンキは更に言葉を投げてくる。

「それどころかあの子最初の何日かは酷く錯乱していて……ずっと貴方を呼んでいたわ。声は出なかったけど、私には分かった」

「………」

「…あの子にとって、貴方だけが全てを許せる唯一の相手なの。多分ツナですら、あの子を外に出せるようになるまでもう少し時間がかかるでしょうに」

その言葉を最後に、オレは踵を返してその場を立ち去ろうとした。

「どこへ行く気?」

オレに質問してくるビアンキに、振り向いて一言。

「オレの恋人のとこだ」

ビアンキはオレの答えに満足そうに笑った。…やっと機嫌を直してくれたようだ。

「ええ。そうしてあげて。ダッシュよリボーン。ダッシュ!!」

分かった分かったと、オレは急いで獄寺の部屋へと向かった。


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早く行かないと殺しちゃうわよ?