声の出ない獄寺くん
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ノックの音がして、部屋にあの人が入ってきた。
リボーンさんだ。
「待たせたな獄寺。…ん?何でディーノがいるんだ?」
ああ、途中で会ってここまで送ってもらったんですよ。
「そうか。それはすまなかったな」
「あー…いや、それは構わねぇけど…そっか、今スモーキンはリボーンの愛人だっけか…」
今頃気付いたのかよ。つか、オレはリボーンさんの愛人じゃなく…
「ディーノ。獄寺はオレの恋人だぞ。次間違えたら折檻だからな」
オレが訂正させようとした箇所をリボーンさんがさらりと言ってくれて、オレの頬が熱くなる。
「つか、お前獄寺に手を出してねぇだろうな?出してたら殺すぞ?」
「出してねぇよ!!つかさらりと怖いこと言うなよ!!」
「出されてないか?獄寺」
え?えーと…
一人通路を歩いてたらいきなりディーノに抱きつかれて暗闇に引き擦り込まれて変な妄想されて…あとキャバッローネに来ないかと誘われました。
「ほほう」
「待て!何か語弊がある!絶対どこか誤解がある!!」
残念ながらオレが思ったのは全て真実だ。
「ほほう」
「スモーキン!今一体何を思った!てか少しはフォローしろ!!」
んなこと言われてもリボーンさんに嘘つけるかよ。
……でも。
こんな風に怒ってくれるという事は…オレはまだ、この人の隣にいてもいいんだろうか。
まだ、オレは…この人の恋人でいても、いいんだろうか。
「…こら、獄寺」
と、いきなりリボーンさんに振り向かれる。…心なしか少し機嫌が悪いような…
「今なに考えてたんだ?」
え?なに…何って…
貴方のことを、なんて思ってしまい自分の思考に赤面する。そんなオレを読んだのかリボーンさんも多少面食らっていた。
「……オレは、お前を捨てるつもりはねーぞ」
リボーンさん…
「これは別に同情とか責任感とか、そういう感情でじゃない。単にオレがお前といたいから、そう言ってるんだ」
………。
オレはリボーンさんの急な言葉に、思わず黙り込んでしまう。
その…その……なんというか、その…
嬉しいんですけど。
オレとリボーンさんは、ディーノが「その、なんだ…お邪魔したな」と言って退室するまでそのまま見つめ合っていた。
++++++++++
その後二人の距離は縮まって……
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