『何か』を失ったリボor獄
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『心』を失った『獄寺』


オレは獄寺を車椅子に乗せて歩く。

穏やかな日差し。のどかな午後。風は涼しく、遠くからは鳥の鳴き声が聞こえる。


「平和だな。獄寺」

「………」


だけど、獄寺はオレの声に答えない。

それでもオレは獄寺に声を掛けるのをやめない。


「いい景色だな」


少し小高い丘に登れば、遠くがよく見える。

オレは暫く景色を見ていたが、ふと視線に気付いて目をやった。獄寺がオレを見ていた。


「…どうした?」

「………」


問いかけるも、答えはない。

オレは獄寺の髪を優しく撫でた。

獄寺が気持ちよさそうに目を細めた。


それだけで、オレにはもう充分だった。


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穏やかな日々の、平和な日常。