もし獄寺くんがキャバッローネに拾われていたら
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「隼人っ!!」
「んー?」
キャバッローネファミリーアジト。その一室。
獄寺が仕事をしているそこに、獄寺のボスたるディーノが息を弾ませてやってきた。
その様子は実年齢よりも非常に幼く見える。
こいつは本当に年上なのか?という幾度目になるか分からない問いかけを内心で繰り返しながら、獄寺はディーノの言葉待った。
「日本に行くぞ!!」
「日本?」
獄寺の表情が険しくなる。
というのも、ディーノはよく獄寺を連れて"視察"という名目で様々な場所へと赴く。
それはいい。本当に視察ならば獄寺は大歓迎だ。
しかしディーノが行く先は何故かいつもリゾート地ばかり。
バリ島、セブ島、グアム。この間はハワイにも行った。
しかもディーノは獄寺の見る限り遊び倒しており、世辞にも視察をしているとは思えず…とどめとばかりにいつも留守番を任されたロマーリオに連れ帰されている。
「遊びなら一人で行け」
「ちが、今回は違うんだって隼人!」
今回はと言ったか。
額に青筋を浮かび上がらせる獄寺に気付かず、ディーノは言葉を続ける。
「日本にオレの昔の恩師がいるんだけどさ、今そいつ別の人間の指導に当たってるらしくて…兄弟子として来て欲しいって連絡があったんだよ」
「恩師?」
「そう。ちなみに今そいつが育てているのがボンゴレの時期10代目なんだと」
「ボンゴレ…」
ボンゴレファミリー。イタリアのマフィアたちの間で、それを知らぬ者はいない。
伝統・格式・規模・勢力全てにおいて別格と言われるイタリア最大のマフィアグループ。キャバッローネファミリーとも同盟の仲だ。
「しかも聞いた話、時期10代目はお前と同い年らしいぞ」
「そいつはすげえな」
しかも日本人か。そういえばボンゴレ9代目は日本人だと聞いたことがあったのを、獄寺は思い出す。
日本といえば平和で、平穏で。お人好しが住み。しかし物価が高いと名高い国だ。そんな国で生まれるボスは、果たして自分たちをどう思うのか。
「…興味あるな」
「お、隼人も乗り気か。じゃあ今度行くから、用意しててくれ。今回はファミリー総員で行くからな」
「おお」
++++++++++
それが悲劇の始まりとも知らずに。
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