もし獄寺くんがヴァリアーに拾われていたら
12ページ/全12ページ
マーモンはフードの中からリボーンを睨み、獄寺の胸に飛び込む。
「…どうした?」
「別に」
獄寺の胸の中からマーモンはリボーンに舌を出す。安い挑発。
だが、リボーンを苛立たせるのには十分だった。
「………よし。あいつボンゴレに引き入れるぞ」
「よく分からないけどリボーンがやる気出した!!」
理由は不明だが、何故だか口早にボンゴレに勧誘する向こう側。
「…子供と馬鹿にしてオレが殺しなどできないと思ったか?舐めんじゃねえよ平和ボケしたガキども!!さっさと嵐のリングを賭けて勝負だ!!」
獄寺は気合いを入れ、ヴァリアーの制服を脱ぐ。
現れるは、上半身はサラシに薄い上着だけという姿。
「んなーーーーー!?」
「こら隼人!!服を着ろー!!」
何故か赤い顔をするボンゴレメンバー。怒鳴るシャマル。一体どうしたのだろうか。
「おお!隼人思い切りいいな!!いいぞもっと脱げー!!…いて!!」
やいのやいのとはやし立てるベルを殴り、獄寺の前に立つザンザス。
「…隼人」
「……な…んだよ。心配しなくても策は考えてきたし、ちゃんと勝って…」
いつもと違う、半端ない威圧感を感じながら獄寺はザンザスに言うが…
「嫁入り前の身で、そんなに肌を晒しちゃならん。そもそもおなごが腰を冷やすような格好をするな」
「何言ってるんだボス!?」
「あと、何で他のメンバーは名前呼びでオレだけボス呼びなんだ」
「それは今聞くことなのか!?…なんでも何も、ボスだからだろ。ていうか他の奴だってボスって呼んでるだろ」
「オレもお前に名前で呼ばれたい」
ザンザスは獄寺の前でだけ驚くほど素直だった。
「………分かった。オレ、この戦いに勝ったら…ボスのこと、名前で呼ぶわ」
「獄ちゃん、それは負ける台詞だわ」
「おい、ヴァリアーに交渉だ。勝負にこっちが勝ったらリングと一緒に獄寺を寄越せ。ていうかリング要らんから獄寺を寄越せ」
「誰がやるかー!!」
「何だ?負けるのが怖いのか?」
「なんだと?受けて立とう」
「ボス!!少しは煽り耐性持って!!」
「まあ待て。こっちもただとは言わん。そっちが勝ったら…えーと、了平でいいや。こいつをやろう」
「あら。アタシ欲しいかも」
「ぬ?つまりオレは何をせずともあの麗人といられると!?」
「向こう行ったら多分殺されるけどな」
「極限お断りだ!!」
「…は、面白ぇ。ようは勝てばいいんだろ?ルッスには世話になってるし、奴とリングを手土産に戻ってきてやるぜ!!」
―――こうして、戦いの場に赴き対面した二人の姉弟。
その結末は語られていないが、少なくともその後。獄寺はボンゴレとヴァリアーの二つの組織をしょっちゅう出入りしていたという。
++++++++++
ボンゴレとヴァリアーの架け橋、獄寺くん。
前
戻