もし獄寺くんがキャバッローネに拾われていたら
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「…日本…なんて恐ろしいところだ。オレの可愛い隼人を見せびらかせようなんて軽い気持ちで行くんじゃなかったぜ……」

「ボス…そんな気持ちで日本に飛んだんですかい…」


呆れ顔でため息を吐くロマーリオ。


「流石はリボーンの教え子といったところか…日本人とはいえ恐ろしい奴ばかりだった。しばらく日本には近付かないようにしよう」

「んな事したらリボーンさんに何されるか分かりませんぜ」

「ふ…だがそれも隼人のため。そういえば隼人はどうした?おーい、隼人ー?」

「ん?おお、ここだ」


と、現れたのは携帯をカチカチと操作している獄寺。


「何か用か?」

「いや、姿が見えなかったから探してただけだが……何やってんだ?お前そんなに携帯使うような奴だっけ?」

「いや、メールしてるだけ」

「メール?誰と」

「今はリボーンさん」

「なんだとぉ!?」


ディーノは驚愕した。

いつの間にメアドを交換したんだ。この二人。


「今度日本に来た時に殺しのイロハを特別に個別で教えてくれるって。…やべーリボーンさんの特別授業とかオレ嬉しすぎて死にそう」

「個別!…つまりは二人っきりか!?許さんぞ!!」

「なんでだよ」

「なんでって…お前……」


理由を告げようとしたとき、獄寺の携帯の着信音が鳴る。獄寺の目線が下がる。


「リボーンがもう返信してきたのか?」

「いや、これはボンゴレ10代目」

「ツナ!?」


だからお前らいつの間にアドレス交換してたんだよ!!とディーノは嘆いた。


「お友達になってください……ね。未来のボンゴレのボスだってのに、変わった人だ。悪い奴じゃなさそうだけど、マフィアの業に押しつぶされないか心配だな」

「お…おお…そうだな」


ディーノもその心配はしていた。リボーンが付いているから、大丈夫だとは思うが…フォローは多いに越したことはない。

獄寺がその一つになるのは構わない…どころか大歓迎だ。

だが何故だろう。このままだと大変なことになるような、そんな予感がする。

獄寺が返信を打つ中、また着信音が鳴った。


「今度こそリボーンか?」

「いや、あの……よく分からんギャグを言ってきた奴」


だから…だからさぁ!!一体いつアドレスを交換する時間があったんだよ!!そもそも携帯取り出してすらねえじゃねえか!!

更に嘆くディーノをよそに、獄寺は黙って携帯を見つめる。


「………日本語って、難しいな」

「どうした…?」

「何を言っているのか、よく分からん」

「消しとけ!ついでに拒否しとけ!!」


ディーノの心からの叫びであった。



こうして、獄寺の存在がボンゴレメンバーにばれてしまい。

彼らは事あるごとに獄寺を呼び、親睦を深め。

ボンゴレとキャバッローネの間では獄寺を巡った裏の争いが常に繰り広げられることになるのだが…それはまた別のお話。

なお、獄寺本人は全くその争いに気付いてはおらず。


(……よく分からんが…みんなすっごい仲いいな…)


と、ものすごい天然ボケで嵐のど真ん中に鎮座していた。


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次はヴァリアー編です。