獄寺くんの日常 秋編
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起きたとき。目の前には獄寺くんの顔が度アップでそこにあった。

わ。凄い。夢みたいな光景…ん?夢?

夢。その単語で思いつく。

そうか…これ、夢か。

そうだよね。獄寺くんが寝起きにオレの目の前にいるわけが無いし…

じゃあ何してもいいかな。だって夢だしね。

オレがそんなちょっと危ない事を考えていると…


「ん……」


獄寺くんが呻く。そのあまりにもリアリティに心臓が跳ねる。

うわ、うわ、獄寺くん色っぽい…!朝の獄寺くんって初めてみたけどこんな感じ…?

と、薄っすらと獄寺くんは目を開いて。こちらを見て。


「…10代目?どうしたんですか…?」

「え…?」

「顔…赤いです。どこか…具合でも?」


寝惚けてる風な獄寺くんがゆっくりと顔を近づけて。おでこをくっつけてくる。

わ、わ、顔近い近い!ちょっと動くだけでキス出来そう!!


「ん…ちょっと…熱…あります?10代目…」

いや、その熱は多分別の熱。病気とかそんなんじゃない。


…ていうかそうだ。思い出した。

獄寺くんは今日…泊まりに着ていたんだっけ。それで一緒に眠って…


「ん…いま、何時ですか…?早く起きないと…遅刻…」

「いいから。まだちょっと。眠ってよう?」

「え…でも」

「いいから。ね?」


オレが強い口調でそう言うと、獄寺くんは素直に同意する。


「はい…わかり、ました」


うとうととしながら賛成の意を示して。そしてそのまま眠ってしまう獄寺くん。

…まぁ、学校は学校で後から行くとして。

少しぐらい先生に怒られることになっても気にしない。気にならない。


だから。今は。もうちょっとだけ。

獄寺くんの寝顔を。見ていたいと、そう思った。


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学校よりも大事なものがある。たとえば、キミとか。