獄寺くんの日常 お昼休み編
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獄寺はひとり、人気の無い中庭に現れた。
太陽が高い。…それもそのはずで、今は昼休み中だ。
と言っても真面目に授業を受けて昼食をひとりで摂りに来たとか。そういうわけではない。
獄寺はただ単にお昼から学校に来ただけだった。
本来ならば今すぐにでも教室に向かうべきなのだが、この温かな日差しはそんな彼の思考を溶かしてしまう。
…少しだけ、昼寝をしてしまおうか。
実は少しだけ寝不足なのだ。この日差しの中で寝たらきっと気持ちのいいことだろう。
獄寺はその魅力に負けて高い一本の木の影にねっころがる。
…すぐに睡魔がやってきた。
獄寺はあっという間に深い深い眠りの中へと堕ちてしまう。そこから這い上がることはもう出来ない。
すやすやと眠る獄寺の前に、一つの人影が現れた。
人影は幸せそうな顔で寝ている獄寺の隣に腰を下ろして。獄寺の寝顔を見つめている。
さてはてお昼休みの終了を告げるチャイムが鳴るまであと10分。
恐らくそれで目が覚めるだろうが…目が覚めたとき彼はどんな反応を返すだろうか?
それを少し楽しみにしながら、人影は彼が起きる瞬間を待ち侘びた。
――チャイムが鳴るまで、あと五分。
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起きたら彼はなんと言うだろうか?
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