無害な吸血鬼リボーンさんサイド
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気が付いたときには、オレはここにいた。


「………」


何故、どうしてこの場にいるのかは分からなかったが、深く追求する気にはならなかった。

オレは椅子に座り、何を考えるわけでもなくただぼんやりとしていた。

日が昇り、沈み、星が見えて、空が明らみ、その繰り返し。

窓から見えるその光景を、ただじっと見ていた。

どれくらいの時間をそうしていただろう。

数えていたわけではないが、感覚的に数千年、といったところだろうか。

その間、オレはぴくりとも動かなかった。空腹を感じることもなく、排泄をしたいと思うこともなく、身体の節々が痛むことすらなかったからだ。

埃が積もることもなかった。服が汚れることも。不思議なことだと思ったが、何故かそういうものだと納得していた。

時間だけが流れていた。オレは瞬きひとつすらせずその場にいた。傍から見れば、オレは彫像のように見えたかもしれない。

そんな世界に、変わらない世界にひとつの変化が訪れた。

誰かが、来た。


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吸血鬼リボーンさんと銘打ってるけどこのリボーンさんはきっと吸血鬼すら超越した何かです。