無害な吸血鬼リボーンさんサイド
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「ワオ。誰かいたよ」
黒い誰かが窓の縁に手を掛け、オレを見据えて、声を掛けてきた。
「………」
オレが初めて動く。首を僅かに動かし、そいつを見る。
「…キミは…なんだい?」
「………」
そいつは訝しげにオレを見ている。オレはぼんやりとそいつを見ている。
「…喋れないの?」
そいつのその言葉を聞いて、オレは初めて、
「そうか。オレは喋れるのか」
と言うことに気付いた。自分の声を聞いたのも初めてだった。そいつが怪訝そうな顔をする。
今、気付いたの?
そんな声が聞こえた。そいつの口は動いてなかったが、そいつが言ったのだと分かった。
「ああ、今気付いたんだ」
そいつが少し驚いた。
あれ?今僕、言葉に出したっけ?
「いや、言葉には出してなかったな」
「………」
そいつはむっとした顔をして室内に入り、トンファーを取り出し、オレに襲い掛かってきた。
オレは椅子から離れ、そいつの攻撃を避ける。トンファーが風を切った。
そいつの攻撃は止まらない。トンファーが上から下へ、左から右へとオレに襲い掛かってくる。
「…なんで反撃してこないの」
そいつがオレを睨み付けながら言ってくる。言いながら、真一文字にトンファーを振り下す。
オレはそれを首を少し右に動かして避ける。そして、そいつを見る。
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出会って三分で戦闘開始。
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