無害な吸血鬼リボーンさんサイド
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オレは老人の屋敷に招待され、事情を話した。自分が吸血鬼であること、子供がいること、子供のために金が必要なこと。

老人はオレの説明になるほどと頷き、じゃあ私のところで働きなさい、と言った。

何をするんだ?と尋ねれば主な仕事は護衛。傍にいて、話し相手やゲームの対戦者になってほしい。あと、物騒な連中が現れたら先ほどオレが銃を潰した要領で追い払ってくれればいいと言った。

老人の名は、9代目といった。この街を守るマフィアの長。その9代目。9代目になる前の名は捨てたと言っていた。

とりあえず、とその日助けた分の謝礼として金をもらった。その金を持って、城に帰った。

獄寺はまだ寝ていたが、暫くすると起きた。オレは獄寺に買い物は出来るか、と言うことと料理は出来るか、と言うことを聞いた。答えはどちらも「はい」だった。


「なら、近くに街があるから、この金で好きなものを買って好きなものを食うといい」

「分かりました。ありがとうございます、リボーンさん」


オレは金を獄寺に渡すとまた街に下りていった。早速仕事だ。

9代目の屋敷に行くと、9代目は驚いていた。どうやら仕事は明日からだと思っていたらしい。


「寝ないで大丈夫なのかね?」

「オレに睡眠は必要ない」

「いや、寝なさい」

「………」


命令されてしまった。

まあ、オレに睡眠は必要ないが、眠ることが出来ないわけではない。はずだ。多分。

それに雲雀の言葉を借りるなら、オレには眠る理由がないのと同時に寝ない理由もまたないのだ。


「分かった」

「よろしい」


9代目が満足気に笑った。

とりあえず、とオレは一時間寝るよう言われ客室に通された。

オレは別に遠慮をしているとか、無理をしているとかそういうわけではないのだが、応じることにした。これも善意だ。

眠る、というのが初めての経験だったので勝手が分からなかったが、ようは意識を閉じればいいのだろう。

きっかり一時間で意識を開くと9代目は苦笑していた。

それから、今夜から出来るだけ決まった時間に8時間は眠るようにと指示を受けた。そういうものらしい。全く、不便なものだ。


そんなこんなでオレの仕事は始まった。

大抵は9代目と当たり障りのない話をしたり、チェスの相手をしていた。

たまに食事を差し出されることもあったが、それは辞退した。必要ないからだ。

これには9代目も強要はしなかった。どうやら人間と吸血鬼では食べるものが違うものだと思っているらしい。正直助かった。

そういえば一度輸血パックをもらったが、それも辞退しておいた。飲まなくても平気だし、飲みたいとも思わなかったからだ。というか、それは本当に必要な奴にやってほしい。

そんな日々が暫く続いた。獄寺の生活はどうにかなったが、代わりに獄寺といる時間がなくなった。獄寺はオレが仕事に出掛けた後に起き、帰ってくる前に寝るからだ。休日の日も一日中寝ている。

一度、休みをずらしてもらおうかとも思った。獄寺が起きてる日に合わせてもらおうかと。

しかし、と考え直した。休みをずらして、合わせて、獄寺と一緒にいて獄寺に何をしてやれるのだろうと。

何もしてやれない。

オレがあいつのために出来ることといえば、それこそ金を稼ぐことだけだ。

オレは獄寺の家族だというのに。

ああ、あと、ひとつあったか。

獄寺の血を吸うこと。

獄寺はオレに血を吸われたがる。オレが獄寺の血を望んでから、ずっと。

しかし獄寺の血を吸うと、獄寺は弱る。数日動けなくなる。

オレに出来ることは獄寺を苦しめることだけ、か…


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リボーンさんが獄のこと超想ってる。じゅるり。