仔犬獄寺くんと飼い主少年リボーンさん
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ガシャンと、硬い音が響いた。
それはリボーンが愛用しているマグカップが割れる音。
……………!!!
あっという間に面影を失ってしまったマグカップを見て、獄寺の血の気が引く。
獄寺が歩いていると机にぶつかり、その衝撃でマグカップが落ちて割れてしまったのだ。
ど、どうしよう……
怒られる。
獄寺の頭の中は、それで一杯だった。
お仕置きされる。
獄寺の脳裏に、今までされてきたお仕置きが思い浮かぶ。
思わず涙目になる獄寺。
そこに。
「何だ今の音は」
獄寺の主たる、獄寺の愛してやまないリボーンがやって来た。
………!!
思わず固まる獄寺。
リボーンの目が獄寺と、割れたマグカップを映す。
「……………」
無言で近付いてくるリボーン。
獄寺の身体が震える。
獄寺と割れたマグカップの前に膝をつくリボーン。
獄寺の尻尾が下に丸まる。
「……獄寺」
は、はいぃ!!!
名前を呼ばれ、小さな身体をびくんと大きく震わせて応える獄寺。
怒られる。お仕置きされる。ごめんなさい。頭の中はそれでいっぱい。
しかし予想に反し、リボーンは特に怒った様子を見せない。
「…大丈夫か?」
………はい?
リボーンは固まって動くことすらできない獄寺を抱きかかえ、身体のあちこちを見る。
「…破片とか身体に刺さってないか?危なかったな。こんな近くにマグカップが落ちてきて怖かったろ」
どうやらマグカップは偶然落ちたものだと思っているらしいリボーン。獄寺はかなり気不味い。
あ、あの……
「あーあ。これ気に入ってたのにな。まあいいか。お前に怪我がないなら、それでいい」
………。
下手に叱られるよりも、ダメージは大きかった。
今度から本気で気を付けよう。そう心に誓う獄寺だった。
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でもすぐ忘れてしまった。
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