獄寺くんの長い長い病欠
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「いや、いいけど…どうしたの獄寺く」

「獄寺ー!!」


ツナの声を遮って、どたばたとうるさい足音を響かせながら山本が現れた。


「よ!生きてたか獄寺!!」

「山本…なんで」

「愛しの獄寺からメールが来て、学校なんかにいれるわけないだろう」


当たり前のように言い放つ山本に、獄寺は突っ込みの一つも入れられない。代わりに青筋立てたツナが反論する。


「誰が……」

「誰が愛しの獄寺隼人だって?」


ツナの突っ込みを引き継ぎながら現れたのは雲雀。その手には既にトンファーが収められている。


「返答によっては、少し痛い目に遭ってもらうよ?」


雲雀は笑いながら山本にトンファーを突きつける。目は笑ってない。


「そりゃ先輩。言葉通りって奴ですよ」


雲雀の目が細まる。


「へぇ……」


雲雀は楽しそうに笑って――


「二人ともストーップ!一応病人の、獄寺くんの前だから!!」


今まさに壮絶な争いが繰り広げられそうになったとき、それを止めたのはツナだった。

二人は獄寺、というキーワードの前に動きを止める。


「…と、そうだったね」

「わりぃわりぃ。サンキュー、ツナ」


争いを止めた二人に、ツナはふぅとため息を吐いた。


「それにしても、何で山本と雲雀さんが……」

「だから言っただろう?獄寺からメールが来たって」

「僕にも来たね」


何もお前ばかりが、特別じゃないんだぜ?


ツナの脳裏に何か声が反響したが、聞こえないふりをした。


「それで獄寺くん。他にもメール送った人いる?」

「あ、はい。……しば」


どたたたたばたん!!


獄寺の台詞はマンションの階段を登る音、そしてドアを開く音に遮られた。


「タコヘッドー!!!」


了平が顔を出す。

ツナは更に獄寺に問いただす。


「……他には?」

「えっと、ロン」

「獄ちゃーん!!」


了平に続き、ロンシャンが姿を現した。


「………っていうか、みんな学校は」


獄寺の至極当然な突っ込みに。


『サボった』


みんなの声が綺麗にはもった。それを聞いて獄寺は言葉を失った。


「それで獄寺くん。メールを送ったのは、ここにいるので全員?」

「えっと、その……あと二人ほど…」


獄寺は少し気不味そうに言った。意味はよく分かっていないが、なんとなくこれはみんなにとってよくない情報だと悟ったからだ。

案の定ツナは顔をしかめたが、それも一瞬ですぐさま山本に指示を出す。


「山本!玄関の鍵閉めて!!」

「あ、それ無理」


しかしそれをやんわりと遮ったのはロンシャン。


「え?」


疑問符を浮かべるツナに、了平がいつものように大声で答えた。


「オレがドアを破壊した!すまん!!」


お兄さんのアホー!!!


みんなの心の中に、ツナの突っ込みが木霊した。

しかしそれに嘆きを覚える暇もなく。


「よ。ずいぶん賑やかだな」

「ハヤト兄ぃー、大丈夫ー?」


いつから進入していたのか、廊下から残りの二人…ディーノとふぅ太が姿を現した。