縁の下の苦労持ち
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「―――――獄寺!!」


リボーンさんが現れた。

闇が消え光が灯り場に世界が戻ってくる。

オレの部屋。そこに同じ容姿をした人間が二人。リボーンさんが二人。

現れたリボーンさんは肩から血を出していた。となるともうひとりのリボーンさんに付着している血はリボーンさんの血か。

リボーンさんは己の身体から流れ出る血をまったく気にすることなくもうひとりのリボーンさんを睨みつけている。もうひとりのリボーンさんは…笑っていた。

もうひとりのリボーンさんがオレに飛び掛る。オレの身体は金縛りにあっているかのように硬直したまま動けない。


「獄寺!!」


リボーンさんの叫びが向こうから聞こえる。そしてオレのすぐ近くにもリボーンさん。

もうひとりのリボーンさんとオレの距離が近くなる。触れられるほど近く。

そしてもうひとりのリボーンさんが口を開く。


「―――悪いな、獄寺」


…は?

喋った…?

え、このリボーンさん喋れるの?当たり前かも知れないけど声もそっくりだな…

なんてあまりにも場違いなことを考えていたら。


「だが…まあ、勘弁してくれ。お前だってあいつの恋を応援してくれるだろ?」

「…は?」


こ、恋…?

あいつって…それって……?


「あいつは本当に自分に鈍いからな。周りの思いには鋭いのにそれに比例して自分の気持ちがまるで分かってない」


ああ、うん。それはなんとなく分かる。分かるけど…

それと今の状況と、一体何の関係が?

混乱するオレをよそにもうひとりのリボーンさんは悪戯っ子のような笑みをしてオレの肩を掴み引き寄せオレの頬に顔を寄せた。


「ご―――」


慌てたようなリボーンさんの声が遠くから聞こえる。


「あいつを、よろしく頼む」


無邪気なリボーンさんの声が近くから聞こえる。

言われた言葉の意味を考える暇もなく。

気が付いたらリボーンさんはオレたちへと距離を一気に縮めもうひとりのリボーンさんをオレから引き剥がしていた。

そしてリボーンさんはもうひとりのリボーンさんを床に叩き付け足で踏み付け手にした拳銃で容赦なく撃った。