ツナ父奮闘記

ツナ父奮闘記
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呼ばれた獄寺くんは何事かとくりっと顔を向けました。それだけの仕草にも萌えてしまいます。


「結婚しましょうっ!!」


なんとなんと獄寺くん本日二度目のプロポーズです。流石は学園のアイドル。しかも雲雀先輩のときとは違い、ストレートです。


「オレ、まだ結婚出来る年じゃないから…」


獄寺くんはやんわりと断りました。さすが学園一位の頭脳の持ち主です。頭いいです。なんか突っ込み所が違うのは放っときます。


「それ以前にオレが認めないから」


ツナも笑がなら釘を刺します。目は笑っていませんが。

このお父さんに認められるような婿ははたしているのでしょうか?たぶんいません。(反語?)


「10代目……」


獄寺くんも大事に思われているのが嬉しいのか、喜んでいます。らぶらぶですね。砂糖がキロ単位で吐けそうです。

しかしこれに納得出来ないのがランボです。


「で、でも獄寺氏!10年前結婚の約束したじゃないですか!忘れましたか!?」


ランボは子供にありがちな可愛らしい過去を持って応戦します。でも、現実でそんな昔の約束事を本気にしている人には正直引いてしまいます。


「……10年前?悪いけど覚えてない……」


申し訳なさそうな顔で獄寺くんは言います。思わず何でも許してあげたくなります。

でもランボは諦めませんでした。なんて言ったって学園のアイドルとの結婚が賭かっているのですから。


「でも―――」

「しつこいよ。ランボ」


終止符を打ったのはツナです。

ツナは獄寺くんを引き寄せて言いました。


「獄寺くんは覚えていないって言っているし、仮にそれが事実であったとしても………オレが許さないから」


凶悪面でツナは言い放ちます。周りに可愛い女の子をはべらせているその姿はまるで悪の親玉です。

その迫力に圧倒されてか、ランボは


「が・ま……うあぁあぁぁぁあぁあぁぁぁっ」


泣きながら走り出して行ってしましました。ジャスト五分です。

ツナはランボの足跡が消えたのを確認してから獄寺くんを安心させるように微笑みました。


「ふぅ……もう、大丈夫だよ。獄寺くん」

「10代目……」


獄寺くんは安心したようにツナにしがみつきました。


「獄寺がモテる理由ってやっぱこれよねー」

「はい。可愛すぎます。私も抱きしめたいですっむしろ抱きしめますっ」


ハルちゃんはそう言うと獄寺くんを抱きしめに席を立ちました。

その様子を花ちゃんは、


「いや、可愛いだけじゃなくて、守ってあげたい雰囲気が一番の理由でしょうね」


冷静に分析したあと、女の立場を利用して自分も獄寺くんを抱きしめようと席を立ちました。



午後の授業も全て終わり、下校時間になりました。


「10代目、帰りましょう」

「うん」


二人は帰宅部です。無事に家に帰りきるのが部活内容です。

二人は外に出ました。グラウンドで子供達が遊んでいます。

その中の一人が、二人……正確には獄寺くんに気付いて、こちらへ走ってきました。


「ハヤト姉ぇーっ!!」


ふぅ太です。当然獄寺くん狙いです。黒いです。何かと理由を付けては獄寺くんに甘えています。計算です。

しかも体裁が与えられるのは中学生以上の男子が対象なので、まだ中学生でないふぅ太は好き放題です。計算です。

ふぅ太は獄寺くんに飛びついてきます。獄寺くんは受け止めます。ツナは面白くない顔をします。


「ハヤト姉ぇ〜会いたかった〜っ」

「昨日も会っただろ?まったくふぅ太は…」


言いながらも、獄寺くんの顔は笑っています。なんだかんだ言いながらも子供好きだと嬉しいです。(希望)

ふぅ太は調子に乗って、獄寺くんのやわらかいお腹に頬ずりします。獄寺くんはくすぐったそうです。


「ん…っちょっとふぅ太、やめ……」


そんなことを言われて止めるふぅ太ではありません。


「だめ?」


ふぅ太に上目遣いでそう言われてしまえば獄寺くんは強く言えません。


「ダメって言うか……その…」

「いいよね?」


ふぅ太はますます力を強めてあちらこちらに頬ずりをかまします。まるでセクハラ親父です。


「んんっ……つめた…」


今まで外で遊んでいたふぅ太の頬は少し冷たいです。

いくら服越しとはいえ、その体温差に獄寺くんは身体を震わせます。

流石のツナも見ていられません。ふぅ太を止めにはいります。


「ふぅ太。いい加減に……」

「えーっまだいいでしょお父さん」


誰が誰のお父さんだ。


ツナは心の中でそう突っ込みました。ふぅ太はツナのことをツナ兄ではなくお父さんと呼びます。確信犯です。