がんばれ☆ツナ父
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「どうしました?オレの顔に何かついてます?」

「あ、い、いや、なんでもない!」


そう言うと10代目は慌ててノートに視線を移した。

…?

台所から「若いな」って声が聞こえてきた。


それからオレ達は宿題を片付けて復習して予習してリボーンさん手作りの晩御飯を食べた。相変わらずリボーンさんの食事は美味しかった。

食後まったりとしていると、リボーンさんから声が掛かった。


「獄寺。風呂に入ってこい」

「はい」


オレは立ち上がる。


「10代目」

「うん?」

「一緒に入りましょう」


にっこり笑顔でそう言ったら、10代目は吹き出した。


「ご、獄寺くん!?」

「はい?」


なにやら10代目が慌てている。

どうしたのだろう。何か問題でもあるのだろうか。


「獄寺」


リボーンさんに声掛けられる。


「はい」

「ツナは置いといて、オレと一緒に入るか」

「そ、そうしなよ獄寺くん!!」

「はぁ…」


10代目に背中を押され、オレとリボーンさんは風呂場に向かった。

風呂に張られたお湯の中にオレとリボーンさんは身を沈めさせる。

…気持ちいい。

湯船の中で身体を温める。そうしていると、リボーンさんがオレを見てきた。


「獄寺…」

「?はい?」

「お前、また胸がでかくなったんじゃねーのか?」

「そうですか?」


特に意識したことなかった。そういえば最近、ブラが少しきつくなってきたような気もする。


「今度の休み、新しい下着でも買いに行くか」

「そうですね」

「ツナには内緒な。あいつ連れていくと同じもんしか買わねーから」

「オレはそれでもいいんですけどね」


そんな話をしながら、風呂から上がる。


「リボーンさん、背中流しますよ」

「そうか」


リボーンさんの小さな背中を洗う。

…こんなに小さいのに、家事を完璧にこなすなんてやっぱりリボーンさんは凄い方だ。


「いつもご苦労様です」

「お前がそう言ってくれるだけで十分だ」


いつも渋くて素敵だなぁ、リボーンさん…

オレは胸キュンした。


「………獄寺」

「はい?」

「今………幸せか?」


オレの手がぴくりと跳ね、一瞬止まる。


「…幸せですよ」


オレは笑顔で答えた。リボーンさんはそうか、とだけ返した。



九時になる。あっという間に寝る時間だ。一日は早い。

「寝るか」

「寝ようか」

「眠りましょう」


大きな布団を敷いて、三人で入る。

リボーンさんを抱きしめて、10代目と向き合う。親子三人、川の字だ。

程なくして、二人の寝息が聞こえてきた。


「………」


オレは薄目を開けて、二人を見つめる。

昨日と同じ今日。今日と同じ明日。

ずっと変わらない、平穏な日々。

風呂場で、リボーンさんに言われた台詞を思い出す。


幸せか、と。


…オレは幸せです。幸せですよ、リボーンさん。

こんなにもオレによくしてくれる、二人がいるのだから。

だからオレは幸せなんです。


―――たとえこれが、偽りの日々だったとしても。


++++++++++

たとえそれが、いつか壊れてしまうのだとしても。