逆鱗
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「……リボーンさん…一体いつ…」
「いつ気付いたか、か?無論最初からだ。お前が出て行って嫌な予感がしたから、ここで待ってた」
「………」
相変わらず…この人には隙がない……というか。
「予感的中、か。…全然嬉くねぇな。おい獄寺。お前オレがここにいなかったら、どこに行ってたんだ?」
「それは…」
「予定通り任務に出ていたのか?万全でもねぇくせに。お前は死にたいのか?」
「死ぬなんて、決まったわけじゃ……」
「ほお…」
リボーンさんの目が細まる。そして歩いてオレの方に向かってくる。オレは逃げることすら出来ない。
リボーンさんはオレの腕を掴み、そのまま突き進む。…行き先は病室だろうか。
「り、リボーンさん、離して下さい」
「オレの手も引き剥がせないようで任務に出れるか、馬鹿」
こちらを見向きもせずに、リボーンさん。
…怒ってる……完全に怒ってるリボーンさん……
「まったく…お前は言ったら分かってくれる奴だと信じてたんだけどな…」
リボーンさんのぼやきが聞こえる。
リボーンさんの手はオレの腕をしっかりと握り締め…その力は少しずつ強くなっていた。
痛い…が、それを訴えられるような立場でもない。
あっという間にオレは病室に逆戻りさせられ、ついでにベッドの上に投げ飛ばされた。
更にそれだけに留まらず、何故かリボーンさんに圧し掛かられた。
り…リボーン、さん…?
「あの…?」
「聞き分けのない悪い子には…お仕置きが必要だ。お前もそう思うだろう?獄寺」
「いや、その…」
リボーンさんが笑う。
リボーンさんがオレの身体を見て…ふと右腕に目を留めた。
…何故だろう。嫌な予感がする。
リボーンさんは笑ったまま、オレの右腕に手を伸ばした。
そして、折った。
「ぃ……っ………」
「…声を出してもいいんだぞ獄寺。それぐらいの自由は与えてやる。オレは優しいからな」
リボーンさんが笑っているが、オレは痛みでそれどころではない。
やばい…リボーンさんが切れた……
「ああ…駄目だな。腕を折ったんじゃあまたお前は任務に行こうとするか。やっぱりここは足を折らねーとな」
「やめ…」
思わずそんな声を出してしまうが、リボーンさんは聞いてくれない。
腕から足まで一直線に指先を這わせ、右足に手を掛ける。
「いい声で鳴いてくれよ獄寺?我慢しないでいい。……オレが聞きたいんだ。分かったな?」
「いっ……あ……」
身体の内側から鈍い音が聞こえた。痛い。
息が荒くなり、額には脂汗が溜まっている。だがリボーンさんは気にも留めない。
「…鳴いちゃくれねーか。そうだよな。お前はオレのお願いなんか聞いちゃくれねーよな。オレが行くなと言ったのに任務に行こうとするし」
リボーンさんが左足に手を掛ける。
痛みが身体を走る中、リボーンさんの手が触れたところだけが嫌に冷たく感じた。
「お前は片足が動いても行きそうだな?…両足とも折ったら、諦めてくれるか?」
「あぐ…っ」
リボーンさんの細い腕のどこにそこまでの力があるのだろうか。オレの骨があっという間に三本折れた。
唯一自由の利く左手が痛みを和らげようとあちこちを動き回る。
だが、その左手もリボーンさんに掴まれた。
「…こいつだけ動けて、仲間外れだな?」
「リボーン、さん…」
「仲間外れは可哀相だ。…お前もそう思うだろう?獄寺」
「や……」
涙で視界が滲んでも、リボーンさんが笑っているのが分かる。
オレ…もしかしてこのままリボーンさんに殺されるんだろうか?などと思いながら、左腕に激痛を感じながら。オレの意識は沈んだ。
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