獄寺くんがクラスの女子に合コンに誘われたみたいです
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「こうなったら少しでも獄寺くんにクラスの手がいかないようオレが壁になるしかない…」

「いえ、オレの歓迎会らしいのでむしろ手は来ないといけないかと」


獄寺は冷静な声で言ってみるがやはり効果はなく。


「というわけで京子ちゃん!オレの席は獄寺くんの隣でよろしく!!」

「あ、獄寺くんは女子枠だから私の隣かなー」


女子枠ってなんだ。


獄寺は疑問に思ったが考えても答えは分からず。


「女子枠獄寺くん……有りだね!!


ツナにはなんか納得された。

どういうことだと近くにいた花川に聞くと、どうやら席を男女が向かい合うようにしたいのだが男子が多いため誰か一人を女子の席に座らせなければならないらしい。

そしてそれが獄寺に決定したと。

それが名誉なことなのか不名誉なことなのかは獄寺には分からなかったが、とりあえず(10代目含む)みんなが喜んでいるみたいなので何も言わなかった。



そして、合コンが始まる。



舞台は近くのカラオケ店。大人数用の大部屋である。

幹事の挨拶、そして獄寺も照れながらも短い挨拶をしてクラス合コンが始まった。

主役ということでまず獄寺にマイクが向けられたが、流行りの歌をよく知らない獄寺は辞退した。歌える歌といえば並中校歌ぐらいなものだ。多分歌ったら奴が来る。

そんなわけで獄寺はクラスメイトの歌声をBGMに聞きつつ投げられる質問に答える。

正直すぐに飽きて面倒になったがツナがこちらを心配そうに見ているので気を抜かない。大丈夫です10代目、オレはクラスに溶け込んでみせますとツナの真意を知らないまま意気込む。

そして、ふと唐突に獄寺の隣にいつの間にか誰かが座った。その人は並中の制服を着てなくて、


「クフフフフフ。それで、隼人くんの好みのタイプは…」

「あー…っと…」


話の流れでつい答えようとしてしまう獄寺。が、それより前に周りのクラスの人間がクフフに鉄槌を喰らわす。


「獄寺くんにそういう質問するの禁止って事前に言ってたでしょ!抜け駆け禁止!出し抜き厳禁!フライング駄目!絶対!!


という声が聞こえた。どうやらそういうルールがあるらしい。

というか今聞こえた特徴的な笑い声は骸だ。何故並中2-A合コンに奴がいるのだろう。というかいつの間に入った。得意の幻術か。


「すみません、お騒がせしました。捨ててきます」


名乗りを上げたのはクロームだ。クロームは槍でみんなにフルボッコにされた骸の襟首を引っ掛けると持ち上げ、退室する。

扉が開かれると外の音が入ってくる。別室の歌声、音楽、そして…


「極限ー!!」


というやはり聞き覚えのある声。聞き覚えのある言葉。あいつあの台詞以外に第一声ないのか。

クロームが少し驚き身を翻した。するとドアの向こうから馬鹿…もとい笹川兄が飛んできた。あと骸はその時張り倒された。


「タコヘッド!何貧弱なことしとるかー!!


「な…ひ、貧弱!?」


いきなり心外なことを言われた。歓迎会に参加しただけで貧弱呼ばわりとはこれいかに。


「何の話だ!」

「言われなければ分からぬかタコヘッド!周りに余興させ女を侍らせ…何がたの……楽しそうだなタコヘッド!!


「お前少し落ち着け」


余興とはクラスメイトが歌う歌のことだろうか。女が周りにいるのは自分も女子扱いだからだ。楽しいか楽しくないかと聞かれれば…まあ、一応は楽しいか。


「…おい笹川、お前の兄貴だろ何とかしろよ」

「あはは、お兄ちゃん寝言は寝てから言ってよ


結構黒いな笹川。と獄寺は隣で思った。


「京子、お前までこんなところで何をしている!!」

「獄寺くんの歓迎会だよ」

「何!?そういうことならオレも参加したいんだが!!」

「ごめんねお兄ちゃん、この合コン2-Aしか参加出来ないから」


「く…! 何故オレは2-Aではないんだ!!


笹川兄は項垂れた。


「もう、しょうがないなぁ…私お兄ちゃんを捨ててくるね」


近しい人間をどこかへ追いやるときとき「捨てる」という表現を使うのは最近の女子の流行りなのだろうか。獄寺は少し考える。

ともあれ京子は立ち上がり、笹川兄の首根っこを掴みズルズルと引き摺っていった。