獄寺くんがクラスの女子に合コンに誘われたみたいです
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「行こ、クロームちゃん」

「うん…」


そう言い、笑いながら女子二人退出。傍から見ると仲のいい二人組が歩いているだけだが気を失った男性二人を引き摺る様子は非常にシュールだ。

そして京子が退出したことにより獄寺の隣が空いた。ついでにもうひとつの隣はクロームが座っていたため両隣が空いた。

そこを見逃すクラスメイトではない。我先にと獄寺へ群がっていく。獲物を見つけたハイエナのように。

そして獄寺の隣の席権を手に入れたのは…


「死ぬ気で獄寺くんの隣に座るー!!」


未来のボンゴレのボスとして鍛えられ、いくつもの修羅場をくぐり抜けてきたツナと、


「やっと女子の束縛から抜け出せたぜ…」


殺しの才能を見抜かれいくつもの訓練、そして実践を勝ち抜いてきた山本だった。

そりゃあ彼らが本気を出せば命を懸けて戦ったこともないクラスメイトなど敵ではないだろうが…


(二人とも大人気ない…)


いや、一応は同い年なのだろうから大人気ないは少し違うか。だか彼らの実力は大人と子供どころではない。そこまでして自分の隣に座りたかったのだろうか?


(いや、そんなことあるわけが…)


「やっと獄寺君の隣に座れた…!!」


「やっぱここが落ち着くなー」


座りたかったらしい。


「あの…一応これはオレの歓迎会らしいのであまり親しくない奴が隣に座った方が…」

「獄寺くん…なんて優しい!!流石はオレの右腕!!」


変なことで右腕認定されてしまった。


「だが…その優しさが時に命取りになるんだぜ、獄寺…」


歓迎会で気を遣っただけで命の危険を示唆されてしまった。

な、なんて恐ろしいところなんだ、日本…!!


「って、んなわけねえだろ山本」

「いや、山本の言うことは正しいよ獄寺くん…」

「10代目まで…」


そんなことあるわけないでしょうと言いながら、獄寺は向こうの席にある料理を取ろうと立ち上がる。

しかしその途中バランスを崩し倒れそうになり、


「危ない!獄寺くん!!」


すぐ近くにいたツナが獄寺の腕を引き、何とか床ではなくソファの上に倒れさせれた。


「す、すみません、10代目…」

「いや、いいんだよ獄寺くん。無事でよかった…」


言いつつツナは獄寺の上に跨り手首に手を乗せる。


「…10代目?」

「…明日からきっと今まで以上に獄寺くんに魔の手が伸びる…そうなる前にいっそオレが…」

「10代目、小声でよく聞こえませんが何を仰ってるんですか?」

「ご、獄寺くん!」

「は、はい!」


よく分からないが強い決断をしたらしいツナによく分からないまま答える獄寺。

そこに。


バン!!


扉が大きな音を立てて乱暴に開けられた。

殺気立たせた雲雀恭弥その人である。


「……………」


雲雀は部屋を見渡して…


「異性不純行為の現行犯を取り押さえた…よって咬み殺す」


あ、雲雀咬みを言うだけの余裕を取り戻せたんだな、と思いつつ獄寺は手を振る。恐らくはツナが自分に覆い被さっているのを見て勘違いしているのだろう。


「雲雀、異性不純行為じゃない、オレだ」

「………」


何故か雲雀の殺気が増大した。


「同性不純行為の現場を取り押さえた、被害者は保護、他は殺す」


あ、余裕なくなった。

思いつつ獄寺はとりあえず懐から煙幕を取り出して投げた。ひとまずは逃げの一手だ。



並中の生徒は割とタフなのか今日この日は無事逃げ切れることが出来、

クラスばれしていて風紀委員の襲撃もあったはずなのだがどういうわけか凌ぎきることも出来て、平穏が戻ってきた。

獄寺もクラスメイトと(以前と比べて多少は)打ち解け、それを見てツナがやきもきしていたが概ね良好な関係が築けた。


ただ…


「キミ!あれほど合コン行っちゃ駄目って言ったでしょ!あの時だって危ないところだったし…キミなんなの!?馬鹿なの!?」

「だからあれはそんな物騒なもんじゃねえって言ってるだろ!いい加減にしろ!!」


獄寺はあれから雲雀と会うたびに合コンのことを怒られ、説教を食らっていた。


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いい加減分かれよてめぇ!!

君こそいい加減気付きなさい!!