逆転今昔
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「………獄寺くん」

「はい」


ツナの主務室、その机に肘を掛けて手を組み、重々しい口調でツナは獄寺に声を掛けた。


「オレのリボーンが…最近冷たい……ていうかむしろオレを避けてるような気がするんだけど……どう思う?」

「10代目……」


ツナは10年程前からリボーンにベタ惚れていた。メロメロだった。

どのくらいかというと、リボーンのことをオレの前に舞い降りた羽根のない天使と題するぐらいだった。

ああ、出会った当初は悪態ばかり付いていたのに…今ではこれである。

そんなツナの豹変振りに、周りの態度はどこか生暖かいものに変わったのだが…唯一獄寺だけは変わらなかった。


「ひとつだけ、オレに言えることがあるとするならば…」

「…何?」

「リボーンさんは10代目のものではなく…オレのです!!」


獄寺は握り拳を作って熱く訴えた。

獄寺はリボーンと会った当初から既にメロメロだった。


「…いや、違うね。リボーンはオレのだよ。獄寺くん」

「いえ、いくら10代目といえどこればっかりは譲れません。リボーンさんは、オレのです」


「いやいや」

「いえいえいえ」

「いやいやいやいや」

「いえいえいえいえいえ」


今ここに、主従の絆を越えた争いが生まれた。


「そもそも10代目、リボーンさんの魅力に気付くのが遅すぎるんですよ。あれだけ近くにいて、オレから言わせれば何を今更」

「…近くにあるからこそ、その輝き、大切さ愛おしさに気付かないものだよ獄寺くん。そして、いつだって遅すぎるなんてことはない!!」

「…オレは、リボーンさんと初めて会ったあの日あの時からリボーンさんに惚れていたんです。途中から横槍だなんて認めません」

「ふ…オレも、初めて出来た友達である獄寺くんの恋、出来ることなら応援したいんだけど……相手がリボーンであるならば、話は別なんだよ!!」


昔からの二人を知ってるものが見れば仰天しそうな光景である。

あの忠犬と言われる獄寺が飼い主たるツナに吠え、ダメツナと言われるツナがあれほど怖がっていた獄寺に一歩も引かない。


「は!どれだけ好きでも、脈はなさそうだから諦めたら?…獄寺くんだけ、リボーンに修行してもらってないよね?」


ぐさっ


「ぐ…そう言う10代目こそ、リボーンさんが面倒を見て下さっていたのは9代目からの依頼だからであり、仕事だから仕方なく対応していたのでは?」


ざくっ


「う…言うね。獄寺くん」

「そちらこそ。10代目」

「…まあ、言い合っても仕方ない。ここはひとつ……」

「ええ、いつものですね」

「そう。お互いに好きな人が一緒だからといっていがみ合う必要はない。むしろ…自分の知らない相手を知れるチャンス。…協力し合わなくっちゃ」


ツナは笑い、懐に手を伸ばす。

獄寺も同じようにし、封筒を取り出す。

お互いに相手の封筒を手に持ち、中身を確認する。