Surely it is happy. Or the days that there may have been.
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いつもと同じ朝が来て。
いつもと同じ所でキミと出会って。
いつもと違うのは―――
「おはよう、獄寺くん!」
「おう、おはよう―――ツナ」
そうやって、笑顔で挨拶をしてくる…
まるで一般人な、獄寺くん。
今、獄寺くんは自分の事が全く分からない状態にあるらしい。
いわゆる記憶喪失、というヤツだ。
何があったのかは分からない。
イタリアに戻って、そして帰ってきたときには既にこの状態だったから。
でも今リボーンがその事について調べているから、分かるのも。そして治るのも。時間の問題だろう。
だからその間だけ、獄寺くんにはちょっと嘘の記憶を埋めてみることにした。
マフィアなんて関係ない、一般人としての獄寺くんと接してみたかったから。
どうせすぐに獄寺くんの記憶は戻るのだろうから。
だからその短い間だけでも、オレは獄寺くんと対等に接してみたかったんだ。
10代目も右腕も関係ない、彼と―――
何日かを、獄寺くんと一緒に過ごす。
彼からマフィアというものを抜かしてみると、当たり前のことなんだけど…すごく、普通だった。
オレのことをツナなんて呼び捨てするし。(最初は驚いて、次になんだか照れくさくて。でもすぐ慣れて)
勉強会のとき頭悪いなーなんて言うし。(あの獄寺くんから出た言葉とは思えなくて。それは物凄く新鮮で)
帰り道では、小突き合いなんかしたりして。(でもそれは、対等だと、そうなんだと思わせるのには十分で)
すごく…すごく、楽しくて。オレはそれが嬉しくて。
…でも。ある日、そんな日々は終わりを告げた。
そしてそれは、オレが思っているよりもぬるい展開じゃなくて―――
++++++++++
今思えば、そう。この頃から既にそんな兆しはあったはずで。
でも…オレは、そのことに気づけなかった。それがあまりにも些細なことだったから。
最も、このとき気付いていたからといって。何がどう変わったのかと聞かれても。
―――…悲しいことに、なにも答えられないのだけれど。
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