Good-bye. I was happy.
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「―――――リボーンさん」

「なんだ」

「じゅ…だいめには……黙っていて下さいね」

「目なら明日にでもばれるんじゃねーか?」

「…違い、ます…目じゃなくて、オレのことです」



夜になったら獄寺の記憶が蘇ること。伴って痛覚も感じれるようになること。それを獄寺は黙っていろという。



「あの人はお優しい人ですから…余計は心配はさせたくないんです」

「こんな時でもツナか」


オレの言葉に獄寺はくすりと笑って。


「…はい、どんな時だって10代目ですよ、オレは…」

「お前は部下の鑑で、理想だな」

「…あまり褒められてる気がしないんですけど」

「褒めてねぇからな」


確かに獄寺は世のどこにいる部下よりも理想といわれるものだろう。

けれど。理想はあくまでも理想。目指すだけの存在。実際にこんな奴がいたら誰だって「要らない」と答えるだろう。


それは、皮肉か。


「要らない」と言われているから。言われたから。その状態から抜け出したいからこそ理想を目指して。理想になったというのに。

なればなるほど。その不要さばかりが目立ってしまうのだから。

そして最も皮肉なのが、こいつ自身がそのことに全く気付いていないということ。



「お前は盲目だな」



「そうですね…きっと明日には、完全に目が見えなくなっちゃいますね」

「そっちの意味じゃねぇよ馬鹿」

「…ふふ、酷いです、リボーンさん…」


そこまで言って、辛くなったのか獄寺は一息ついて。


「………10代目を…頼みます」

「……………」

「お願いします、リボーン、さん…」


そして、そこで限界だったのか獄寺が意識を失う。次に目が覚めたときにはまた記憶も痛覚も失っているのだろう。そして夜にまた思い出す。

オレは倒れた獄寺に向かって。


「―――――分かったよ。獄寺」