When I want to make you happy. I pray so.
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「………えっと、獄寺くんはね、実はマフィアなの」


自分で言って、なんだかすごいことだなと思った。


「獄寺くんは数年イタリアで一人で名を上げて…ボンゴレっていうファミリーに入って。時期10代目の右腕になりたくて、日本まで来たの」


獄寺くんはオレの言葉を否定も肯定もせずに、ただ話を聞いてくる。


「ある日獄寺くんはファミリーに帰って。そこで何があったか分からないけど、記憶を失って、帰ってきたんだ。…リボーンの話だと、獄寺くん自身の手で記憶を捨てたらしい」


獄寺くんは何かを考え込むように俯いて。頭が痛いのか抑えて。


「獄寺くん…無茶、しないで」

「いや…ところで、オレは一体どんなヤツだったんだ?」

「あ、うん…獄寺くんはね、いつもダイナマイトを持っていて。気に入らない相手だと大人も子供も変わらず喧嘩を売って」



暫く、そうして獄寺くんとの今までの生活を語り紡いだ。

獄寺くんは自分の破天荒さに最初は呆れていたようだったけど、やがて先程と同じように俯いて考え込んでしまって。



「……獄寺くん?」

「いや…悪い。続けてくれ」


言われて、オレはまた語る。彼と共有した生活を。

そうしていると、リボーンとディーノさんが戻ってきた。


「奴らの正体が掴めた。最近ボンゴレの周りをうろちょろしてる三下ファミリーだ。アジトも近い」

「じゃあさっさと行くか。このまま好きに暴れさせてたら修理費も馬鹿になんねぇ」


リボーンの言葉に賛同するディーノさん。って言うか修理費?

一体何の話だと疑問を持ち。聞く前に―――



「敵だ。伏せろ」

「―――え?」



理解するよりも早く。オレは獄寺くんに頭を床に押し付けられた。

そして鼓膜がいかれるかと思うほどの爆発音。



「〜〜〜〜〜〜〜っ!?」



耳が、頭が。痛い。音が聞こえない。



「−…‥――…!!」

「…―‥−…――!?」



ディーノさんが、リボーンが。何か言ってるけど。

ごめん。何言ってるか分かんない。全く聞こえない。


と、ぐいっと手を引かれ。

…引いているのは、獄寺くんで。

オレは獄寺くんにされるがまま、部屋を飛び出た。


ああ、ごめんね獄寺くん。

いつまで経ってもオレ、キミに護られてばかりだ―――



部屋を出ると同時に、リボーンも出てきた。鼓膜はまだいかれてる。

二人が何かを話していて。けれどごめん。オレには何も聞こえない。


また獄寺くんに手を引かれて。そのままリボーンと三人、ホテルを後にした。


ホテルを出るまでにも敵は待ち構えていて。リボーンがそいつらを撃ち抜いていく。

客人は居ない。ディーノさんがホテルを全室貸しきっていたからだろう。不幸中の幸い、という奴か。

外に出て。冷たい空気が頬を撫でて。しばらくしてからようやく耳が正常に働いてくれた。


「ツナ?大丈夫か?」


獄寺くんが心配そうに、聞いてきてくれる。


「うん。平気……ごめんね。獄寺くん」

「え?何が?」

「オレ、獄寺くんに護られてばかりだね…いつになっても」

「全くだな。少しは根性見せろよツナ」


リボーンに罵られる。うう、辛い。


「いや、オレは別に…」

「オレが構うの!よし、決めた!!」

「え?」


オレは獄寺くんの手をぎゅっと握って。獄寺くんを真直ぐに見て。


「獄寺くん。今度獄寺くんが危ない目に遭った時は、オレが絶対助けるからね!!」


そう、誓った。

獄寺くんはぽかんとしてて。何を言われたのか分かっていないようで。


「いや、無理だろそれは」


…せっかく良い感じに格好付けれたのに、リボーンが水を差す。この野郎。


「無理って言うなよ!絶対絶対絶対助けるの!分かった!?」


オレがそこまで言うと、獄寺くんは笑ってくれた。


「…ありがとな。じゃ、期待してるから」


その笑顔だけでも。オレはそれを言った意味はあったと。そう思った。


++++++++++

それは決意。間違いなくオレの決意。誰にも否定出来ない決意。

絶対にそうすると。オレに。獄寺くんに誓って。…そうして本当に助けたいと願った。


それはそんな―――――オレの愚かな決意。