With happiness. Good-bye.
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気付くべきだった。オレはこの場で気付くべきだったんだ。

どこか感じた違和感に、それを気のせいと言い訳しないで自分の勘を信じておけば良かったんだ。

そうしておいても何にもならなかったけど。それは意味のなかったことかもしれないけど。でもそれでも。



………オレは、気付いておくべきだったんだ。



闇夜を走る子供が二人と赤ん坊。

…獄寺くんが女の子だったら、なんだか駆け落ちみたいだとふとそう思った。リボーン抱いてるの獄寺くんだし。

とか思ってたら、リボーンになんだか白い目で見られた。


「…お前が親父だなんて。死んでも嫌だぞ」


…ばれてるし。

リボーンはオレと獄寺くんを見直して……


「死んでも、嫌だぞ」

「二回言うなよ!!」


しかもそんなにしみじみと、わざわざ区切りながら!

そして獄寺くんは分かっていないのか、小首を傾げていた。


「………何が?」

「ツナな。今の状況を…」

「わー!!そ、そんなことより!オレたち一体どこに向かってるのっ!?」


オレがそう言うとリボーンは呆れたような顔を返してきた。


「は?お前聞いてなかったのか?」


リボーンが呆れ顔で言ってきた。…悪かったね。聞こえなかったんだよ。


「学校だって」


リボーンの代わりに獄寺くんが答える。学校。なるほど、確かにあそこならリボーンが(恐らく無断で)作った隠れ家がある。


「あとでディーノも来る。とりあえず、いったん体勢を立て直すぞ」


そのリボーンの言葉を最後に、オレたちは無駄な会話を止めて学校へと急いだ。



「…あー、疲れた」


学校へと着き、隠れ家へと入るとオレは思わず座り込んでしまった。

オレたちが入り込んだ隠れ家は最初オレが見たような、狭い空間じゃなくて。

会議室みたいに広くて。大きなベッドにパソコン。それにテレビまで。


(オレの部屋より広くて居心地良さそう…)


リボーンは獄寺くんから離れて。独りどこかへ行こうとする。


「どこ行くのさ」

「武器の確認をしてくる。お前らも覚悟ぐらい決めておけ。ディーノが来たらすぐに出るぞ」


そう言って今度こそ行ってしまったリボーン…って、え?覚悟?


「オレらも行くの…?」


マフィアのアジト。やっぱり銃とか撃ったりするのだろうか。

いや。ていうか駄目だよ無理だよ。死ぬって。いやマジで。


オレも死ぬし獄寺くんだって死ぬから。実戦経験とかオレないし獄寺くんは記憶無いから。

その獄寺くんはというと…ああ、壁に寄りかかって寝てるし。

いきなり色んなことがあって。疲れちゃったんだね。



…それにしても。



ふと、思う。彼はこんなにも白い肌だっただろうか。

前から白いとは思っていたけど。なんだか、以前にも増して…そう、まるで病人のような―――

何故だかオレは不安になってきて。獄寺くんの元へ駆け寄ろうと



「何やってんだお前」



…したところでリボーンが戻って来た。おおう、傍から見るとまるで寝ている獄寺くんに襲い掛かっているかのような格好に。


「…弱って寝ている人間を襲うな。襲うならせめて相手にも抵抗させてやれ」

「どんな教えだよ!」

「ん…?あ、オレ寝て……あれ?ツナ?」


どうしたんだと見上げてくる獄寺くんの目線が何故だか痛い。…ああ、純な瞳が眩しいよ…!


「よー、お前ら無事だったか。ってツナ?なんでお前項垂れてんの?」


敵を撒いてきたのか遅れてやってきたディーノさんの問いに答える気力も今のオレにはなかった。