初恋
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ずっと、そんな日々が続くのだと信じてた。

いつか終わるのだとしても、それはずっと先のことだと信じてた。

ましてや、こんな風に終わるだなんて……欠片も信じてはいなかった。


「…リボーンさん?」

「獄寺か」


ある朝。

いつものようにリボーンと獄寺は出会ったが、リボーンの様子がおかしかった。

と言っても、そうだと気付いたのは獄寺だけだっただろう。それだけリボーンの変化は乏しかった。


「…大丈夫ですか?顔色が……」

「なんだ、お前には分かるのか?…愛だな」

「冗談を言ってる場合ではなく…」

「本当に…なんでお前には分かったんだ?お前にだけは……知られたくなかったのに…」

「リボーンさん?」


いつものように不敵に笑うリボーンだったが、その笑みもどこか弱々しい。

リボーンは帽子を深く被り直す。…獄寺は知っている。これはリボーンが何か都合の悪いものを隠すときの癖だと。

どこかへ逃げるように、リボーンが獄寺に背を向ける。その足取りは人形のように嫌に頼りない。


「リボーンさん…本当に具合が悪いのなら休まないと……」


言いながらリボーンを追い掛ける。ほんの数歩でリボーンに追いつき、その腕に手を伸ばす。

その腕の、なんと冷たいこと。細いこと。


「…リボーンさん?」


獄寺の怪訝な声に応えるように、リボーンの身体が獄寺に倒れてきた。獄寺は慌ててリボーンの身を支える。

その身体もやはり冷たかった。氷のように。

リボーンの目は瞑られ、苦しそうに浅い呼吸を繰り返していた。額からは気持ちの悪い汗が流れている。

ただならぬ事態とようやく察した獄寺はリボーンの小さな身体を抱き上げ医者のもとへと走った。