ハヤトメロディ
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それは、いつも通りの朝。


「それじゃあ、今から朝礼を始めるぞ」


いつもと変わらないはずの―――朝。



朝の定例の進行役はいつもリボーンだ。

こう見えても彼はハヤトのマネージャーになる前はツナの秘書をしていて。そのときからこの役目は変わらない。


「まずツナ。お前は朝から会議が入っているな。昼からは―――」


淡々と続いていく定例。各人は今日の予定を再確認していく。


「続いて雲雀。お前もツナとの会議に出席だ。夕方からはいつでも動けるよう待機していてくれ」


雲雀が了解した風に頷く。それを確認してリボーンは次の報告に移る。


「…最後にハヤトは午前は取材が入っているな。取材にはオレも同行する。昼からは撮影だ」

「は、はい!」

「―――というわけで朝会はこれで終わりだ。何か質問はあるか?」

「特になし」

「今日も頑張ります!!」

「そうか。じゃあみんな今日も一日頑張ってくれ。あと、オレとハヤトが昨日籍を入れたからな。オレからの報告は以上だ。じゃあ解散」


リボーンの声を聞いてみんなが思い思いに立つ。みなの頭にはこれからの仕事のこと。

さて、今日はこれから会議。それが終わったら今度は………

と、不意にツナの足がぴたりと止まった。

…ちょっと待った。と、何かが動くのをストップさせる。

ツナは今、とてもとてもとても重要で大事で大切なことを聞き逃した気がした。

えーと…リボーンはさっき…リボーンと、ハヤトが…


………。


「「ちょたぢうあふhrhfんそいなkmsちょっと待てーーーーー!!!」」


理解した所で思わず叫び声が飛び出た。ちなみに雲雀と同時だった。


「ん?なんだどうした?予定でどこか分からないところでもあったか?」

「違うだろ!って、ええぇえぇえぇぇえぇえええええ!?」

「キミ、何重要なことをさらりと言ってるのさー!!!」

「え?え?なになに何のお話ですか?」


ていうかハヤトは目をぱちくりさせていた。当事者とは思えない反応だった。


「ハヤト…不思議そうにしているけどキミも関係者だから。…リボーンと婚約したんだって?」

「こん…?―――ふ、ふぇぇぇええええええええ!?ハヤトがですか!?」

「え?あれ?なんで当事者が知らされてないの?よもやリボーンのひとり暴走?」

「オレをお前と一緒にするな」


即行で突っ込みが返って来た。

…しかも、特に「お前」の部分に力を込められていた。


「なんだハヤト。お前昨日の今日でもう忘れたのか?」

「え…?」


言われてハヤトはうーんうーんと唸ってその昨日の事を思い出していた。


「昨日は、確かリボーンさんに…」



「おい。ハヤト」

「なんですかリボーンさん」

「前に一生、面倒見てやるって言ったけど」

「はい」

「お前はそれでも構わないか?」

「はい、リボーンさんに見てもらえるなら安心です!」

「そうか。じゃあこの紙に名前と住所を書け」

「はーい」(かきかき)



「あれ、婚約届けだぞ」

「そ、そうだったんですか…!じゃあ…ハヤトとリボーンさんは本当に…はぅ」


ハヤトは顔を赤らめた。照れている。


「って、ハヤトキミはそれでいいわけ?任意じゃなかったんでしょ?」

「はぅ…リボーンさんのお嫁さん…はぅはぅ、夢のようですー!!」


ハヤトは雲雀の言うこととか全然聞いちゃいなかった。恋する乙女は盲目とか、そんな感じだった。


「夢か…この現実も夢ならよかったのに……ああ、もう、今日はいいや」


ツナは思った。今日は飲もう。飲み明かそう。

…畜生。