ハヤトメロディ
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こうして、リボーンとハヤト。二人は夫婦となった。

リボーンの妻となったハヤトは住まいをリボーンの住むマンションに身を移して。

周りからかなりの反響があったが、二人は法律上既に夫婦で。


むしろ何の問題が?


そう言うリボーンに周りは口を噤むしかなかった。

雲雀もハヤトの送り迎えは通いになり、仕事場以外で顔を合わせるのは朝と夜だけとなって。

けれどそれを覗けば二人はいつも通りだった。

いや、ハヤトの幸せオーラが婚約前の約30%増しにはなっていたが。

やがてメディアにもアイドルハヤトの婚約が発表され式も慎みやかに挙げられ二人の仲は世間的にも公認となって。

ハヤトは幸せの絶頂を感じているようだった。


「社長!おはようございます!!」


今日もハヤトは元気に出社してくる。その左手には光り輝くリングが一つ。

その輝きに少しツナは涙を流しそうになりながらも挨拶を返す。


「あ…うんハヤトおはよう。雲雀もお疲れ様」

「…なんで僕への朝の挨拶が終業時のものなのかな…」


だって凄く疲れてそうだし。ていうかやつれているし。苦労してそうだし。


「…あれから何ヶ月経ったと思ってるの。………もう慣れたよ」

「なるほど。じゃあ二人の生活ってどんな感じなの?教えて教えて」


ツナはハヤトが奥の部屋へと向かって行ったのを確認してからいきなり態度を豹変させた。


「って、あのね…そういうの聞くのって無粋だと思うんだけど?趣味も悪い」

「そうは言っても気になるじゃない。あのリボーンとハヤトの生活だよ!?想像が付かない…」

「それに、僕もあまり思い出したくないし…」

「え?慣れたんでしょ?」

「………」


雲雀は頭を抱えた。

しまった。こういう奴だった。こいつは。


「…まぁ…じゃあ観念して言うけど。と言っても僕もあの二人の生活は朝と夜を少ししか知らないんだけどさ」

「分かってるって。早く早く」


年甲斐にもなくねだるツナに雲雀はかなり重いため息を吐きながらも二人の生活を思い出して更に気を落ち込ませた。


「あの二人の生活、ね…ま。言ってしまえば早い話がバカップルかな」

「へー、ばか、っぷ…」


…ん?


「…気のせいかな雲雀。今ハヤトはまぁともかく…あいつにとても不似合いな単語が出てきたような気がするんだけど」

「だから、二人はバカップルなんだって。…まったく、毎日毎日よくも飽きないって言うか…」


雲雀はちょっと二人の朝の様子を思い出した。



「リボーンさんリボーンさん!お仕事行ってらっしゃいませ!!」

「ああ」

「あの、あのあの、今日は早く帰れるんですよね!?」

「そうだな。その予定だ」

「はぅ、なるだけ早く帰ってきて下さいね!?…その、ひとりは少し淋しくて…リボーンさんと少しでも一緒にいたいですし…」

「分かった。善処する」

「それからそれから!車とかに気を付けて下さいね!?リボーンさんが怪我したりしたらハヤトは悲しみま…」


―――ぐいっ


「はぅ!?」


(ちゅ)


「………お前もな」

「は、はぅ…」



「…みたいな?」

「な、何やってんだあいつ…!!」


リボーンあの野郎マジ許すまじ。ツナはかなり本気でそう思った。

しかもそれが毎日…!?と言うかそれで一部分!?ありえなくね!?

ツナの苦悩は続いたという。


そしてそんな日々も過ぎ行く時にはみな感性とか色んなものが麻痺してきて。

数年経つ頃にはその辺りの葛藤も無と等しくなっていた。

けれど…だからこそその報告はみなの意表を付いた。

まぁある意味、それはいつなってもおかしくない報告なのだから、覚悟をしていなかった方にも責任はある…ような気もした。