真相
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「えーと、雲雀にやられました」
「雲雀さんに…?」
はて。とツナは思う。確かに雲雀と獄寺の関係は…まぁ、悪いわけではないのだが限りなく良好。とも言えない。
けれどだからと言ってこうも喧嘩…?をするような関係でもなかったと思うのだが…
「10代目…?」
「あー…いや、なんでもない。それよりも、頭の怪我…平気?結構痛そうだけど」
ツナが獄寺の包帯の巻かれた頭に手を伸ばす。
「…大丈夫ですよ。怪我はシャマルに診てもらいましたし、見た目ほど酷い怪我でもないんです。…まぁ、出血は少し酷かったみたいですけど」
「当たり所が悪かったのかな…わ。結構服にも血が滲み込んでるね」
獄寺のスーツ。
それは傍目では分かり辛いが…頭から流れ出た血液を深く吸い込んでいた。
「獄寺くん…」
本当に大丈夫?
と。そう言いたかった。
が。そう言えなかった。
後ろからのっしのっしとやって来る、小柄なヒットマンが何故か殺気をも漂わせてやってきたから。
「おい」
低い声が聞こえた。
何も悪い事をしてないはずなのに、何故か二人の身体がびくりと震える。
恐る恐る獄寺が振り返る。獄寺の目にやって来たヒットマンの…リボーンの姿が映った。
「リボーンさん…」
思わず小さくそう呟いた獄寺だが、呼ばれたリボーンはそんな獄寺に見向きもせずに…グイッと。獄寺を自分へと引っ張ってきた。
「へ?」
獄寺はというと事の認識が出来ていなかった。
今の今まで自分にあんなに冷たくて無愛想で素っ気無かったリボーンが。自分を引き寄せたのが信じられなくて。
そんな獄寺に構わずリボーンはツナに告げる。
「仕事。終わらせてきてやったぞ」
「あや。もう終わっちゃったの?もう数年ぐらいのんびりしててもよかったのに」
「ふざけんな」
リボーンの怒りの声が深くなる。思わず身を竦める獄寺。
「てめぇよくもオレを扱き使ってくれたな。しかも"仕事を終わらせるまで獄寺に構うな"?ふざけやがって」
「なら断ればよかったじゃんよ」
「オレだって9代目からの口添えがなければ突っぱねただろうよ。てかオレが9代目に逆らえないって分かってて9代目に取り入ったお前に言われたくはねーな」
「あははははは。確かに」
酷い剣幕のリボーンに軽く笑っているツナ。そしてひとり取り残されている獄寺。
「…あの、一体なんのお話なんですか?」
しかしそれに応えられる声はなく。当事者であるはずの獄寺を置いて話は続く。
「つったく。ようやっと仕事まとめたファイルをお前のデスクの上にぶちまけて獄寺のいた部屋に戻ったら雲雀がいるし」
その時の事を思い出したのか忌々しげに顔を歪ますリボーン。
「で。獄寺を追って医務室に行ったらシャマルしかいねーし。そしたら今度はお前だ。ていうかお前ら人が仕事している先で獄寺にべたべたべたべた…」
今までの記憶でも思い出しているのか、リボーンは微かに震えだして。
「もうお前死ね」
「銃仕舞えお前!ていうかやべぇ!リボーンの目がマジだ!!獄寺くんヘルプ!!」
「え?へ?えぇ!?えーとリボーンさん!?」
呼ばれるまま求められるままに獄寺がリボーンの名を呼ぶと、彼の目に正気が戻って。
「…ああ。そうだな。ツナなんかどうでもいいな。じゃあ行くか獄寺」
そう言っては獄寺の手を引いてリボーンは歩いていく。ちなみに獄寺は未だに現状を把握しきれていない。
「あ、あのリボーンさん、行くって…どこへですか?」
「どこだっていい。そういえばお前。さっきオレを呼び止めたな。何の用だったんだ?」
「ぇ…あの、あれは…その、」
獄寺は顔を少し赤くしながらも。小さく答える。
「その…リボーンさんと…食事に行きたくて。ですね…」
「そうか。じゃあ飯喰いに行くぞ。丁度昼だしな」
「あ…でもこの服じゃあ…」
獄寺の服はやはり赤いままだ。まだ彼は部屋へ着替えに戻る途中だった。
「じゃあ飯喰いに行く前に服を買いに行くぞ。オレが見立ててやる」
「え…?あ…リボーンさん!?」
リボーンに引っ張られて行く獄寺を、ツナは苦笑しながら見送った。
ちなみに獄寺を思いっきり攻撃した雲雀は、リボーンの静かな怒りに触れて張り倒されたのをシャマルに保護してもらっていた。
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8700キリリク「両想い擦れ違いリボ獄。リボーンさんがみんなに嫉妬する話」
瞳様へ捧げさせて頂きます。
リクエストありがとうございました。
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