あなたへ羊の贈り物
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―――なんて。そんな。夢を見た。


…いや、夢といっても今までのことが全部なかった…というわけではない。誤解しないように。

あれは本当に昔あったこと。オレはその時の夢を見ただけ。

…戦場で。

白昼夢?それともオレはこんな所で本当に眠りこけてたんだろうか。…だとしたらたいした精神力だな。それかリボーンさんの言う通りただの馬鹿か。


―――それにしてもいい夢だった。まだ余韻に浸りたいぐらい。


…あのあと。

結局オレはリボーンさんの手を握ったまま眠ってしまって。…朝まで、ずっと眠ってしまって。

まさか朝一番にリボーンさんに朝の挨拶をする羽目になるとは思わなかった。

しかも眠気眼で。

…あれは失態だったな……


―――さて、夢に浸るのはこのぐらいにしておこう。


先程も言った通り、ここは戦場。

あいつらを、全部ころさないといけない。

あいつらを、邪魔で煩い赤羊たちを狩り尽さないといけない。


だってそうしないと、あそこでお眠りになられているリボーンさんが起きてしまう。

だからそうならないように、あの羊を全部、全部。…殺し尽くさないといけない。


待ってて下さい、リボーンさん。

すぐに静かに、させますから。


さぁ、羊がいっぴき、羊がにひき。

アハハハハハ、と笑いながら。

サァ、羊がさんびき、羊がよんひき。

赤い水溜りに映っているオレの顔は笑っている。


辺りに響くそれは銃声のオーケストラ。悲鳴の演奏。怒号の歓声。

…全部不要だ。

あの人の眠りの妨げにしかならない。

すぐに、全部終わらせよう。


あの人は地面に横たわり、目を瞑って眠っている。

あの人の背から赤いモノが流れているけど、そんなものオレの目には見えない。


++++++++++

お休みなさい、リボーンさん。

涙なんて、血と一緒に流れてしまいました。