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そういえば、いつもオレからだったよね。

何がって?―――キスだよ。

もう何度もしてるってのに、いつもオレから。

ああ、そういえば告白もオレからだったね。

キミはその想いをオレに告げるつもりがないようだったから、業を煮やしたオレが告白して、そのままキスまでしたんだよね。

キミは物凄く顔を真っ赤にさせてさ。いやもうあの可愛さったら。

―――――まぁともかく。今の今までキミはオレにキスすることなんてなかった。

―――だから。


「―――10代目」

「え?どうしたの獄寺くん。忘れ物?」

「忘れ物……は、はい。忘れ物です」

「?何忘れたの?わざわざ戻ってくるって事は、大事なものなんだよね」

「は、はい。その……その」

「………?」

「10代目!!」

「え?」


―――――ちゅっ


「―――っ!?」

「その…い、いってきます!」

「あ、獄寺くん!」

「はい!!」

「―――いってらっしゃい」


だからあの時、キミがオレにキスしてくれたのが物凄く嬉しかったんだ。

……なのに、何故だろうね。

凄く嬉しいはずなのに。

キミがいなくなった途端、いきなり降り出した雨に胸騒ぎがするのは。