IF ヴァリアーの場合
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イメージは、手負いの銀狼。
見て取れるのは、誰にも屈することのない強い意志を秘めた眼光。
しかし強気なのはその眼だけで、身体は傷だらけの泥だらけ。その身は地面に倒れている。
その正体こそ、数年前に住んでいた城を飛び出しスラム街でその日暮らしをしながらとある夢を見続けている…獄寺隼人。
獄寺は眼前の男を睨み付けていたが、やがて体力が尽きたらしく瞼を閉じ、意識を手放す。
獄寺は最後の最後まで、周りに敵意を振りまいていた。
そんな獄寺と対面していた男は、自らも知らぬうちに獰猛な笑みを浮かべる。
気に入った。
そんな呟きが、誰に届くことなく風に乗り、消える。
男は銀狼を担ぎ上げ、歩き去った。
その男はこの地―――イタリアを統べるマフィアの9代目の息子にして、とある部隊のボス。
名を、ザンザスといった。
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