意外な一面
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「とにかく、ヴァリアーに入隊した獄寺だが…見所があるんだろうな。幹部総員で鍛えているらしい」
「鍛えてる?」
「ああ。スクアーロが剣術、ベルフェゴールがナイフ、マーモンが策謀、レヴィが交渉術、ルッスーリアが茶道と華道だそうだ」
「最後おかしくない?」
「確かな筋の情報なんだけどな」
「ヴァリアーは大和撫子でも作るつもりなの?」
「その辺はボスのザンザスに聞け…そうそう、ザンザスの担当は護身術だそうだ」
「あいつ護身なんてキャラじゃないだろ!!護身術なんて知らないだろ!!」
「ああ。だから獄寺に教えるためにわざわざ習ったらしい」
「あいつどれだけ獄寺くんに護身術教えたいんだよ!?」
「で、門限は五時なんだと」
「門限て…!!」
なんということだ。どういうことだ。ヴァリアーとは名高き暗殺集団じゃなかったのか。それが門限て。門限五時て。
「まあ、ここら辺の情報は極秘なのか巧妙に隠されていたらしいからな。どこか間違っているかも分からん」
「そ、そう…」
むしろ間違っててほしかった。しかし獄寺の情報がトップシークレットって。一体彼は何者なのだろう。
やはり彼と話をしてみたい。しかし居場所までは流石のリボーンですら分からないだろう。
ツナがそんなことを考えていると…携帯が鳴った。ディスプレイを見れば山本の文字。どうしたのだろうか。
電話を取ってみた。
『―――ツナ!大変だ!!こないだのヴァリアーって奴らが…あのビアンキのねーさんの弟がうちに来てる!!』
とんでもない情報をゲットしてしまった。
山本もまさか自分の家まで来るとは思ってなかったのか、ものすごく動揺している。
『どどど、どうしようツナ!間近にあの綺麗な人が!!サイン貰ってもいいかな!?頼んだらしてくれるかな!?』
「ひとまず落ち着きなよ山本」
ツナがどうどうと待ったをかけていると視線を感じた。見れば、ビアンキが般若のような顔をしながらこちらを見ていた。
「ひ!?」
「山本…隼人に手を出したら………殺すわ」
「急いで行くぞビアンキちゃん!!隼人を救い出すには今しかない!!」
「オレも行くぞ。超面白そう」
ひとりだけお気軽気分だった。うきうきしている。
ツナを置いて行こうとするみんなをツナは慌てて追いかけた。
一方、所変わって竹寿司店。
「よーし何でも食え食え隼人!兄ちゃんが奢ったる!!」
「まぐろー」
獄寺はベルに連れられて並盛を観光していた。
もうベルはただの弟思いの兄ちゃんだった。
「へいお待ち!まぐろです」
頼んだ品が早くもやってきた。あと何故か色紙も。
何事かと上を見ればマジックを差し出された。そこにはいつだったかのボンゴレメンバーの一人。スクアーロを倒した雨の男がそこにいた。
「すいませんもしよろしければサインください!!!」
そして頭を下げられた。
以前会ったときはまるでプロの殺し屋のような気配を感じたのに、今目の前にいるそいつはただのサインをねだる子供だった。
思わぬ仇敵との再会と、思わぬ要望を叩きつけられてと、早く寿司食いたいという気持ちが混ざり合い獄寺の動きが止まる。
固まった獄寺をその身に引き寄せるのはベルフェゴール。
「駄目に決まってんだろ!何言ってんだ馬鹿!!」
「そこを何とか!お願いします!!オレ、一目でファンになったんっす!!」
「うちの隼人はそんなに安くねーんだ!!」
「じ、じゃあ今日の会計ただでいいから!!」
「おい武―――」
息子の勝手な交渉に待ったを掛けようとする店主。そこに我らがツナ一行が現れた。
「隼人!!」
「あ、姉貴!?」
我先にと飛び込んでくるビアンキを視界に入れてしまい、獄寺の顔色が悪くなる。過去のトラウマが脳内を過ぎり、身体が恐怖を思い出し、震える。
倒れそうになる獄寺を抱きとめるのは兄代わりでいるベル。
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