意外な一面
2ページ/全6ページ


「とにかく、ヴァリアーに入隊した獄寺だが…見所があるんだろうな。幹部総員で鍛えているらしい」

「鍛えてる?」

「ああ。スクアーロが剣術、ベルフェゴールがナイフ、マーモンが策謀、レヴィが交渉術、ルッスーリアが茶道と華道だそうだ」

「最後おかしくない?」

「確かな筋の情報なんだけどな」

「ヴァリアーは大和撫子でも作るつもりなの?」

「その辺はボスのザンザスに聞け…そうそう、ザンザスの担当は護身術だそうだ」

「あいつ護身なんてキャラじゃないだろ!!護身術なんて知らないだろ!!

「ああ。だから獄寺に教えるためにわざわざ習ったらしい

「あいつどれだけ獄寺くんに護身術教えたいんだよ!?」

「で、門限は五時なんだと」

「門限て…!!」


なんということだ。どういうことだ。ヴァリアーとは名高き暗殺集団じゃなかったのか。それが門限て。門限五時て。


「まあ、ここら辺の情報は極秘なのか巧妙に隠されていたらしいからな。どこか間違っているかも分からん」

「そ、そう…」


むしろ間違っててほしかった。しかし獄寺の情報がトップシークレットって。一体彼は何者なのだろう。

やはり彼と話をしてみたい。しかし居場所までは流石のリボーンですら分からないだろう。

ツナがそんなことを考えていると…携帯が鳴った。ディスプレイを見れば山本の文字。どうしたのだろうか。

電話を取ってみた。


『―――ツナ!大変だ!!こないだのヴァリアーって奴らが…あのビアンキのねーさんの弟がうちに来てる!!』



とんでもない情報をゲットしてしまった。



山本もまさか自分の家まで来るとは思ってなかったのか、ものすごく動揺している。


『どどど、どうしようツナ!間近にあの綺麗な人が!!サイン貰ってもいいかな!?頼んだらしてくれるかな!?』

「ひとまず落ち着きなよ山本」


ツナがどうどうと待ったをかけていると視線を感じた。見れば、ビアンキが般若のような顔をしながらこちらを見ていた。


「ひ!?」

「山本…隼人に手を出したら………殺すわ

「急いで行くぞビアンキちゃん!!隼人を救い出すには今しかない!!」

「オレも行くぞ。超面白そう


ひとりだけお気軽気分だった。うきうきしている。

ツナを置いて行こうとするみんなをツナは慌てて追いかけた。



一方、所変わって竹寿司店。


「よーし何でも食え食え隼人!兄ちゃんが奢ったる!!」

「まぐろー」


獄寺はベルに連れられて並盛を観光していた。

もうベルはただの弟思いの兄ちゃんだった。


「へいお待ち!まぐろです」


頼んだ品が早くもやってきた。あと何故か色紙も。

何事かと上を見ればマジックを差し出された。そこにはいつだったかのボンゴレメンバーの一人。スクアーロを倒した雨の男がそこにいた。


「すいませんもしよろしければサインください!!!」


そして頭を下げられた。

以前会ったときはまるでプロの殺し屋のような気配を感じたのに、今目の前にいるそいつはただのサインをねだる子供だった。

思わぬ仇敵との再会と、思わぬ要望を叩きつけられてと、早く寿司食いたいという気持ちが混ざり合い獄寺の動きが止まる。

固まった獄寺をその身に引き寄せるのはベルフェゴール。


「駄目に決まってんだろ!何言ってんだ馬鹿!!」

「そこを何とか!お願いします!!オレ、一目でファンになったんっす!!」

「うちの隼人はそんなに安くねーんだ!!」

「じ、じゃあ今日の会計ただでいいから!!」

「おい武―――」


息子の勝手な交渉に待ったを掛けようとする店主。そこに我らがツナ一行が現れた。


「隼人!!」

「あ、姉貴!?」


我先にと飛び込んでくるビアンキを視界に入れてしまい、獄寺の顔色が悪くなる。過去のトラウマが脳内を過ぎり、身体が恐怖を思い出し、震える。

倒れそうになる獄寺を抱きとめるのは兄代わりでいるベル。