意外な一面
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「でもその変態ももういないわ!!これでいいでしょ隼人!!お願いこっちへ来て!!」
「そもそもオレは姉貴が嫌いなんだよ!!」
「あら反抗期?隼人も大人になって…」
「ちげーーー!!!」
「でも大丈夫よ隼人。そんな心にもないこと言われても私は気にしない。だって私は、あなたが本当は私のこと大好きだって知ってるから!!」
「本当姉貴は昔っから自分の世界に生きてるなあオイ!!」
獄寺くん本当昔から苦労して……!!
ツナは思わず涙した。獄寺が可哀想過ぎて生きるのが辛い。客観的に見て悪いのはこちらである。
「…で、獄寺。お前は一体どういう馴れ初めでヴァリアーに入隊したんだ?」
話の流れをぶった切って問い掛けるのはリボーン。ちなみに彼はカウンターに座って特上寿司をもふもふと頬張っている。
リボーンの急な問い掛けに獄寺は一瞬黙るも…姉と会話をするよりはいいと思ったのだろう。答えようと考え初める。
ツナも獄寺のヴァリアーに入るまでの経緯を知りたいと思っていた。シャマルはああ言っていたが、獄寺を心配し守ろうとしているベルはどうしても悪人に見えない。
獄寺は暫し考え…ベルを見た。
「…ベル。なんでだっけ」
「え?えーと、あれだよ。ボスが拾ってきたんだよ」
拾ってきた。行き倒れていた所をあのザンザスが保護したということだろうか。やはり実はいい人なのだろうか。
「あー…そうだっけ。そういやそうだったな……オレを飼うつもりで拾ったんだっけ?」
…ん?
「そうそう。殺すなって命令されてさー。でも実は最初は事故に見せかけて殺す気満々だった。ごめんな」
…ちょっと待て。
「別に構わねえよ。おかげでオレも鍛えられたし、犬らしく尻尾を振る覚悟も出来た」
「待て待て待て待てちょっと待って!!」
ツナは流石にストップサインを出した。獄寺が怪訝顔で(ビアンキを視界に入れないように)横目で見てくる。
「なんだよ」
「い、いや…飼うつもりで拾われたとか殺す気で接しられたとか犬らしくする覚悟とか……ど、どういうこと?」
「どういうこともこういうことも、そのままだよ。オレは犬みたいに拾われて、いつ殺されてもおかしくない場所に置かれて、犬になる決意をした。それだけだ」
事も無げに言い放つ獄寺にツナは言葉を失う。あまりにも生きる世界が違いすぎる。
「うう、可哀想に隼人……すっかり洗脳されちまって…!!」
横ではいつの間にか復活したシャマルが涙ぐんでいた。
あとリボーンは、
「店主、まぐろ」
「はいよっ!」
寿司をもふもふと喰っていた。
あいつは寿司を食いに来たのか。
ツナは内心で突っ込んだ。
ともあれシャマルの言う通り、獄寺はヴァリアーのいいように洗脳されてる可能性がある。
ここは彼のために手荒な手段を使ってでも一旦ヴァリアーから引き剥がした方がいいのかもしれない。
「…そうね。隼人…洗脳されちゃって。今お姉ちゃんが助けてあげるから!!」
あ、こっちも駄目かも。
ツナは項垂れた。
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