意外な一面
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辺りを沈黙が包む。誰もが息を呑み、彼が何をするのか。何を言うのか待っている。身構えている。
そんな周りの意思も空気も知らぬように、ザンザスは周りを見渡し…獄寺を見て、言った。
「時間だ。帰るぞ」
時間…?
ツナはなんのことだと思い、ハッとする。まさか、リボーンが言ってたあの門限が本当にあるのか!?
ツナは慌てて時計を見た。3時45分だった。
「…ああよかった。ヴァリアーの門限五時ってのは、流石に嘘か……」
「ああん?」
ツナの思わず漏れた言葉にザンザスが反応する。ツナはびくつく。
「ひぃ!!」
「門限五時…?なんのことだ」
「な、なんでもないよ!!ヴァリアーには門限があるって、何の根も葉もない噂を聞いたことがあるだけで…!!」
「お前オレが仕入れた情報が何の根も葉もない噂だと?」
ツナの後ろでリボーンが静かに切れてた。
嗚呼前門のザンザス、後門のリボーン。逃げ場なし。
そんなツナの事など知らず。ザンザスは宣言する。
「うちの門限は四時だ」
ヴァリアーーーーー!!!
ツナは叫んだ。有らん限りの声で叫んだ。内心ではあったがとにかく叫んだ。
本当に門限あるのかよ!お前一体なんなんだよ!!ふざけてんのか!!
「とにかくもう四時だ。帰るぞ」
「…帰りたいのは山々なんだが、会計で手間取ってて……」
獄寺の言葉を聞いて、ザンザスはふむ。と頷き懐から札束を三つ取り出した。それをレジの前に投げる。
「店主。これで足りるか?」
「へ、へえ…」
寿司代、店の修理費、それまでの維持費纏めて足りそうで、店主は頷いた。
ザンザスは既に店には興味をなくしており、獄寺だけを見ている。
「これでいいだろ。帰るぞ」
「お、おう」
ここまでされてはザンザスの言うことを聞く他ない。獄寺はベルの腕から離れ、ザンザスに向かい歩く。
しかし姉を見てしまった影響はまだ抜けきってないのかその足元は覚束無い。ザンザスの前で倒れそうになる。
ザンザスは獄寺を支え、抱きとめた。
「具合が悪いのか?」
「ああ…少しな」
青褪めた獄寺の顔。震える身体。
それを見て取ったザンザスはすぐに病院を手配した。ザンザスは獄寺を超心配していた。
「すぐに病院に行くぞ。…まったく、慣れぬ気候で身体を壊したか?そんなんじゃヴァリアーでやっていけんぞ」
「わ、悪い…」
「まあいい。今日は休め。今日の分の茶道と華道と書道と香道と料理は来週に回せ」
なんか聞いた話より多いし!!!
ツナは今一度驚愕した。
やはりヴァリアーは大和撫子育成コースを作っているに違いないと思った。
「おいベルフェゴール。これを持ってけ」
「ん?」
ザンザスと獄寺に着いていこうとするベルに、リボーンが手にしていたものを投げる。それは土産用に包まれた寿司だった。
「獄寺、寿司を食いたがってたんだろ?具合が良くなったら食わせてやれ」
「お…おお。まあこれもボスの金だけどな」
言ってヴァリアー面子は立ち去り、危機は去った。
後に、寿司をくれたリボーンに獄寺が礼を言いに行ってまた一波乱あったがそれはまた別の話。
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おまけ。未来編の一コマ。
『う"お"ぉおおおいお前ら生きてたかぁああああ!!!』
「スクアーロ!!よかった、ヴァリアーも生きてたんだね!!」
『うしし、近々日本まで助っ人に行ってやるよ』
「ありがとう!…そういえば、獄寺くんは?」
『獄寺か。獄寺は…今回の戦いには参加出来んかもしれん』
「ええ!?ま、まさか酷い怪我でも!?」
『いや、日本舞踏の習い事が忙しくてさあ』
「相変わらずかお前ら!!」
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