意中の人
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「………」

「どうした獄寺。やけに深刻そうな顔をして」

「リボーンさん…オレ…」

「………?」


「…痛くて…」

「痛い?見たところ外傷はないが…何の話だ?」

「オレ…自分で、終わらそうって、決めて…」

「……?」

「周りに言われたこともあって…それにオレ自身も…苦痛でしたから」

「………」

「だから…頼んで。全てを終わらせようって…」

「………」

「だけど、いざそのときになると怖くて…でも全ては今更で」

「………」

「不思議ですよね。最初現れたときは煩わしいとしか思ってなかったのに、いつしかその存在に慣れきってしまって…」

「………」

「今までいなかったのが当たり前だったのに、ずっとずっと昔からそこにいたような気すらしてしまって」

「………」

「でも結局…終わらせました。奴は…必死にオレから離れまいとしましたけど、でも多勢に無勢で…」

「………」

「オレの身体には、今ぽっかりと穴が開いています。その穴は傷だらけで…抉れてて。触ると痛いんです」

「………」

「さっきからそこが痛んでて…その痛みを感じるたびに、思うんですよ」

「………」

「オレはこの痛みを享受してまで、奴と離れる意味はあったのだろうか、と…」

「………」

「分かってるんです。離れた方がいいに決まってますよね」

「………」

「別に、これが初めてって訳じゃじゃないんです。前にも一度、まったく同じ状況がありました。…あの時は今回よりも酷かったから、それだけが救いです」

「………」

「オレ知ってるんです。こんなのすぐに治るんだって。時間が経てば、自然に周りが傷を埋めてくれるって…分かってますから」


「………で、さっきから何の話だ。獄寺」

「さっき抜いた親不知の話ですー、傷口が痛いんですリボーンさんー」

「………」


(ドガッ!)


「痛い!?痛いですよリボーンさん!?結構本気に痛いです!なんですか何事ですか!?オレ何かしましたか!?」

「 間 際 ら し い 言 い 方 を す る な ! 」

「…?まったく訳が分かりません。リボーンさん、どうかオレに分かるように説明を」

「言えるか馬鹿!!」

「………?」


「お。来たか隼人。今の状況を"親不知"って単語抜きで説明したらリボーンどんな反応してた?」

「思いっきり殴られて怒鳴られた」

「よし!脈有りだな!」

「マジで!?なんで!?」

「よし!次は曲がり角で上手くリボーンとぶつかれ!落し物をするとなおよし!!」

「意味が分からん…」


リボーンに片想いの獄寺、獄寺に片想いのリボーン。そして二人の仲を(いい意味で)掻き回すシャマル!

そんな三人の明日はどっちだ!


++++++++++

じゃあひとまずハンカチ落としてくる。