意中の人
1ページ/全1ページ
「………」
「どうした獄寺。やけに深刻そうな顔をして」
「リボーンさん…オレ…」
「………?」
「…痛くて…」
「痛い?見たところ外傷はないが…何の話だ?」
「オレ…自分で、終わらそうって、決めて…」
「……?」
「周りに言われたこともあって…それにオレ自身も…苦痛でしたから」
「………」
「だから…頼んで。全てを終わらせようって…」
「………」
「だけど、いざそのときになると怖くて…でも全ては今更で」
「………」
「不思議ですよね。最初現れたときは煩わしいとしか思ってなかったのに、いつしかその存在に慣れきってしまって…」
「………」
「今までいなかったのが当たり前だったのに、ずっとずっと昔からそこにいたような気すらしてしまって」
「………」
「でも結局…終わらせました。奴は…必死にオレから離れまいとしましたけど、でも多勢に無勢で…」
「………」
「オレの身体には、今ぽっかりと穴が開いています。その穴は傷だらけで…抉れてて。触ると痛いんです」
「………」
「さっきからそこが痛んでて…その痛みを感じるたびに、思うんですよ」
「………」
「オレはこの痛みを享受してまで、奴と離れる意味はあったのだろうか、と…」
「………」
「分かってるんです。離れた方がいいに決まってますよね」
「………」
「別に、これが初めてって訳じゃじゃないんです。前にも一度、まったく同じ状況がありました。…あの時は今回よりも酷かったから、それだけが救いです」
「………」
「オレ知ってるんです。こんなのすぐに治るんだって。時間が経てば、自然に周りが傷を埋めてくれるって…分かってますから」
「………で、さっきから何の話だ。獄寺」
「さっき抜いた親不知の話ですー、傷口が痛いんですリボーンさんー」
「………」
(ドガッ!)
「痛い!?痛いですよリボーンさん!?結構本気に痛いです!なんですか何事ですか!?オレ何かしましたか!?」
「 間 際 ら し い 言 い 方 を す る な ! 」
「…?まったく訳が分かりません。リボーンさん、どうかオレに分かるように説明を」
「言えるか馬鹿!!」
「………?」
「お。来たか隼人。今の状況を"親不知"って単語抜きで説明したらリボーンどんな反応してた?」
「思いっきり殴られて怒鳴られた」
「よし!脈有りだな!」
「マジで!?なんで!?」
「よし!次は曲がり角で上手くリボーンとぶつかれ!落し物をするとなおよし!!」
「意味が分からん…」
リボーンに片想いの獄寺、獄寺に片想いのリボーン。そして二人の仲を(いい意味で)掻き回すシャマル!
そんな三人の明日はどっちだ!
++++++++++
じゃあひとまずハンカチ落としてくる。
戻