言わぬが恋
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事の始まりは…数週間前まで遡る。
いや、獄寺の様子は実はそれよりも前からおかしかった。
けれどそれは今のようにリボーンを避けるのではなく…むしろリボーンを見つめては、リボーンから目線を合わせようとするとさっと目を逸らすというものだった。
リボーンはそのことをツナに相談すると、ツナは軽く「本人に聞いてみれば?」と答えてくれた。
そうしようと思いリボーンがある日ツナの家に来ていた獄寺に声を掛け、手を伸ばしたら………その手を振り払われた。
しかも、なんか、そのまま帰られた。
さっきのように用事がある、とか言ってた気がする。
そして、その次の日からだった。
獄寺がリボーンが来るとまるで逃げ出すかのように姿を消すようになったのは。
どこでだってお構いなしに。
授業中に来てみた。
普通に席を立たれて退室された。しかもそのまま保健室の窓から逃げられた。
ツナが町の不良に絡まれているときに来てみた。
ツナを置いたまま踵を返して逃げられた。置いて行かれたツナも悲しがってた。
獄寺がツナの家に遊びに来たときに出迎えてみた。
同じく出迎えていた奈々にお土産を渡し、そのまま帰った。しかもその日から獄寺は家まで遊びに来ようとしない。
明らかに避けられていた。誰が?リボーンが。誰に?獄寺に。
…これでリボーンが獄寺のこと嫌いならばそれはそれでよかっただろう。相手もこちらもお互い関心なし。それはそれでその道もありだ。
けれど…非常に難儀なことにそうではなかった。
むしろ、逆だった。
そう、獄寺氏に普段あれだけ冷たく当たり、会話も必要最低限。
修行らしい修行も人任せで自分は欠片もまともにしようとしないリボーンだが…実は彼は獄寺を嫌っているわけではなかった。
むしろ、好きでした。
ツンデレでした。
異様なほどまでのツンッぷりでした。
好きなのに冷たく当たってしまうリボーンは毎回獄寺と別れたあと実は後悔の連続でした。
あんなこと言って、嫌われてないだろうか。嫌われてたらどうしよう。とか。
そんなことばかり毎日毎日考えていました。
ツンデレ、かつ、ヘタレでした。
そして…とうとう徹底的に避けられるという決定的な行動を取られ、リボーンは軽く鬱に入りました。
ツンデレヘタレに鬱まで加わりました。
そうして、ことある度に死のう死のうとするリボーンを毎回止めるツナもたまったものではなかった。
どうしたものか、と思いながらツナはなんかめそめそしている最強のヒットマンを抱きかかえて学校へと急いだ。
(…でも…獄寺くん…)
内心でツナは呟いた。
(やっぱりどう見ても…リボーンを避けてはいるけど、嫌ってるようには見えないんだよなぁ……)
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