言わぬが恋
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実はそれは大正解で、けれどそれを知るものはその場には誰もおらず場所は離れて獄寺のマンション。


「姉貴…オレ、どうすればいい……?」


獄寺は自室の隅で膝を抱えてめそめそしながら、こともあろうかこちらこそ大嫌いという点では大本命の実姉ビアンキ(眼鏡装備付き)に相談をしていた。


議題。リボーンさんへのこの溢れる思いをどうすればいいでしょうか。(102回目)


実は何を隠そうリボーンに恋心を抱いていた獄寺氏。けれど初めての恋というものに獄寺は感情に翻弄されまくっていた。

そして恋という感情を教えてくれた人物こそビアンキであり、獄寺は何かある度にビアンキにこうして相談しているのだった。


「逃げずに思いを伝えればいいのに」

「 で き る か ・ ・ ・ ! ! ! あの人の名前を聞くだけでオレは逃げ腰だぞ!!」

「ちっとも自慢にならないわね」

「………」


その通りだった。

そしてこのままではいけないことも、獄寺には分かっていた。

このまま逃げていたら、そのうち絶対相手にされなくなる。


むしろ、嫌われてしまう。

てか、もう嫌われてないか!?

そうだったらどうしよう!!


「オレは…どうすれば……!」

「………そうね。言葉で伝えきれないのなら、物で伝えてみたらどう?」

「物……?」

「そう…私のように思いをそのまま料理にぶつけてみてそれを渡したら?きっと伝わるわよ?」


きっと逆の意味で。


ビアンキを知るものなら、誰だってそう思うだろう。

ましてや実の弟で更に昔からビアンキの料理の餌食になってた獄寺ならなおのこと。

しかし。


「料理か……なるほど……」


獄寺隼人はそこまで追い詰められていたのか、存外『名案』として受け止めていた。


「リボーンさん…喜んでくれるかな…」

「もちろんよ。当たり前じゃない」


頼もしい姉の微笑に励まされ、獄寺隼人は決心する。

そして、キッチンへと向かっていった。