言わぬが恋
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「リボーン」

「…なんだ。どうした」


連日の獄寺の避けっぷりにすっかり生気をなくしてツナの自室でしょげているリボーンに、ツナは朗らかに声を掛けた。


「獄寺くんからリボーンに贈り物だってよ」


ガバッとリボーンは身を起こした。


「………獄寺から?オレに?」

「そう。リボーン、やっぱりこれは脈有りだって。嫌いな人に料理なんて普通送らないし」

「料理?」


そう、とツナは先ほど玄関で獄寺から手渡されたばかりの品をリボーンに見せる。

お椀に盛られたシチューだった。

しかも作ってすぐに持ってきたのか、まだ湯気が立っている。


「しかも獄寺くんから伝言付きだよ」

「…伝言?」

「うん。………『これが、オレの気持ちです』…だってよ。よかったね」

「………」


気持ちと称されて、渡される手作りの品。

胸の奥の奥が仄かにあたたかく感じられるのは、手渡された椀のぬくもりが移っただけでは決してない。


「オレは…」

「ん?」

「オレは獄寺に…嫌われてるわけじゃ……なかったんだな」

「何を今更。ずっとそう言ってんじゃん」

「………」


リボーンは胸奥から込み上げてくる何かを隠すように誤魔化すように、シチューを一口、口に含んだ。


………。

ぱたり。


そんでもって倒れた。


「…あれ?リボーンなんで寝てるの?」


急に眠ってしまったかのような様子のリボーンに暫し首を傾げていたツナだったが…やがてリボーンが息をしてないということに気付いて慌てて救急車を呼んだ。

最強のヒットマン、暗殺されかける。

この事実は裏社会で何気にニュースになったという……


そして。