過去と未来とその真相
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あの日に区切りをつけたはずの未来が、また目の前に。

しかも今度は取り返しの付かない方向へと……


あの世界の通りに、世界は進んでいく。


リボーンさんは呪いに灼かれ、10代目は凶弾に倒れた。

あの世界をなぞるように、全ては無駄な足掻きのように。10年前のことなど何の意味もないように。


オレはどうしたら良い?オレはどうすれば良い。


己の君主が殺されるのを、止められなかったオレには。

思い悩んでも答えは見つからず。やがてあの日がやってくる。


それは10代目の墓参りに行ったとき。

小さな気配を感じて、思わず駆け寄った。

そこには………あの日の、あなたが。

オレに出来るのは謝罪と………そして。


「…10代目」


あの日の、再現。


「―――過去に戻ったら、どうか。…入江正一を殺して下さい」


そうしたら………



隼人ちゃん。



白蘭も、きっと………

オレは過去へ行く。過去へと戻る。

オレは死に物狂いで入江を探した。だけど見つからなかった。

時が過ぎる。長くも短いときが着々と過ぎていく。


…ああ、怖い。


全てが分かっているから、怖い。

未来には、白蘭はいない。

未来の…あの世界の。オレの世界の白蘭は殺される。



他の誰でもない、オレに。



白蘭はオレの大切なものを奪い、壊したから。

分かってる。分かってた。たとえ白蘭がいつしかオレにとって10代目に負けずとも劣らない大切な存在になっていたとしても。

懺悔は要らない。辞世の句も聴かない。言い訳なんて必要無い。…それがこの世界だ。

やがてオレは未来に戻る。自分の世界に帰る。

涙はきっと流さないだろう。だってあの日に泣いたのだから。

愛する人を全て失ったあの世界で、オレは泣くことも笑うことも出来ずに壊れるだろう。


…ああ、今頃になって思い出した。


10年前。オレが白蘭の何も知らぬまま殺意だけを当てて殺したときのこと。

あの時白蘭は、オレに殺される寸前だったと言うのに笑ってた。

笑って、こう言った。



隼人ちゃん。

隼人ちゃんは、僕のこと嫌いかも知れないけど。



僕は隼人ちゃんのこと、大好きだよ!!



オレの方が大好きだ馬鹿野郎!!

そんなことに気付くまでにこんなにも時間が掛かっているのだから、オレは本当に救いようがない。


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終わってた。全てはもう、とっくの昔に終わってたんだ。