獄寺くんの長い長い流行性感冒
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「…何でこんな所にいるんですか?」

「心外だね。僕の可愛いフィアンセが病気になったって聞いてすっ飛んで来たに決まってるじゃない」


貴方キャラ変わりすぎです。

初期のあの冷たい鬼畜キャラはどこへ行ってしまったのですか。

貴方本当にあの最凶の不良風紀委員、雲雀恭弥なのですか。


「ん…」


獄寺くんが少し身動ぎする。少し騒ぎすぎたのかもしれない。


「ああ、麗しの隼人…こんなに苦しそうに…」


雲雀さん。そんな恍惚な表情のまま獄寺くんにそれ以上近付かないで下さい。通報しますよ?

と、オレの腕が携帯に伸びた時、丁度雲雀さんの制服から携帯が鳴り出した。雲雀さんは不機嫌そうにもそれを取る。


「…チッ」


おお、雲雀さんが舌打ちとはまた珍しい。何があったんだろ。


「残念だけど時間切れみたい。…隼人によろしくね」

「え?何かあったんですか?」

「ちょっと数ヶ月ばかりの風紀の仕事を溜め込んでいてね。そろそろ片付けないといけないんだ」



真面目に仕事しろよ風紀委員長。



パタンとドアの向こうに消えていった雲雀さんを見送って。オレは獄寺くんの寝ている部屋へと戻る。

…はぁ、この分だと戻ってもまた誰かいそうだよ…ディーノさんかお兄さんか…はたまたビアンキ?それとも…


「クフフ。お帰りなさいボンゴレ10代目」


お前かよ。

何でお前こんな所にいるんだよ。

お前あれだろ。ボンゴレの裏の裏って言うか。なんかやば気なところに連れて行かれたんだろ。

何でいるんだよ。そんなにボンゴレって温いのかよ。…ああもういい加減にしろよ。


「色々言いたいことはあるけど…取り合えず、その近過ぎる獄寺くんとの距離をどうにかしてくれない?」

「おや怖い。…でも。それは聞けないお願いですね。何故なら…」


言って。骸はただでさえ近い獄寺くんとのその距離を縮めて。…眠っている獄寺くんを、抱き上げて。


「この仔は、僕の物ですから」

「な…――獄寺くんはオレの物だ!!」


「正統派主人公がなんてこと言ってしまいますか」


…しまった。つい本音が。


「クフフフフ…まぁライバルは多少いてこそ張り合いもあるというもの…。障害のない恋は少々つまらないですしね」

「まぁそれについては同感かな…」


他の人間全てを蹴り落とすのも楽しそうだしね。



「黒い。顔が黒いですよボンゴレ」



おっといけないいけない。


「ともあれ、獄寺くんから離れてくれないかな骸。ていうか、消えろ」

「クフフ…ですから、それは出来ない相談と…」



「邪魔」



あ。骸がシャマルに蹴り飛ばされた。

…そう切なそうな顔をするなよ骸。鬱陶しい。


「ボンゴレが酷すぎます…」

「よよよと泣くなやかましい」