獄寺くんの長い長い流行性感冒
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「うっわうっわ…!ちょ…かっわ!可愛い!何コレ何コレ!!いつの獄寺くん!?」
「ククク…喜べボンゴレ坊主。今日のオレは機嫌が良い。いつもじゃ一般公開しないような隼人まで見せてやるよ…」
「一生付いて行きます!師匠!!」
「バカヤロー。オレは隼人以外の弟子は取らねーんだ」
なんか台詞変わってるー!
「…うっせーぞめてーら。獄寺が寝辛そうにしてるのが目にはいらねぇのか?」
「―――って、あれ。リボーン…なんでリボーンまでいるんだよ。まさかお見舞い?」
「悪いか?」
「悪くはないけど…いつも獄寺くんにのみ限定で冷たいリボーンがどういう風の吹き回しかな、と」
「馬鹿野郎。いつものは照れ隠しだ」
んな事堂々と言われても。
「てか、獄寺を布団の中に入れてやったらどうだ?お前いつまで獄寺抱き締めてんだよこら」
ワオ!そういえばオレ獄寺くんにキスしてもらってから感激でずっとぎゅってしてたよ!
「ご、ごめんねごめんね獄寺くん!すっかり忘れてたよ!」
「ひでぇなお前」
お前も忘れていただろシャマル!
獄寺くんを離すと獄寺くんは自主的に布団の中に戻って行った。
ご、ごめんね獄寺くん…
「ったく…獄寺。平気か?」
「ふぇ…あれ。リボーンさん…どうしてこんな所に?」
「オレの馬鹿な教え子のひとりが風邪引いたっつーから来てやったんだぞ」
「…えと、もしかしてそれ…オレのことでしょうか」
「そうだぞ」
「―――す、すいませんリボーンさん…でも嬉しいです。ありがとう…ございます」
そう言うと獄寺くんはいつもでは信じられないことにリボーンを抱きかかえて…引き寄せて…
シャマルやオレにしたときと同じように…その柔らかな唇をリボーンの肌にも押し当てた。
「―――!!」
ただ、シャマルやオレの時とは違ったのは…オレたちのときはほっぺただったのが。リボーンの場合は…どこかで位置がずれたのか…その、
唇だった。ということ。
「………」
リボーンは暫し沈黙して。
べし!
「あ痛」
いきなり獄寺くんの頭にチョップをかましてきた。
べし!べし!べし!べし!!
「あ痛。痛い痛い痛い」
リボーンのチョップは止まらない。獄寺くんはちょっと痛そうだった。
べし!べし!べし!べし!べし!べし!べし!べし!!
「痛。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
「…ちょ、リボーンその辺で…」
リボーンは獄寺くんが沈黙するまでチョップを繰り出したあと、何が彼をそうさせるのか窓までダッシュして窓硝子に体当たりして窓ガラスをぶち破って退室した。
「ちょ、リボーン!なんか色々言いたいことあるけど!結局獄寺くんの体調悪くして帰ってどうするんだよ!!」
割れた窓から身を乗り出してそう叫ぶも既に小さな人影はどこにも見当たらなかった。
代わりに窓のずっとずっと下では、どこかで見た覚えのあるような気のする野球部員っぽい人が倒れていた。
あいつまだ窓にへばりついていたのか。
今度見かけたら通報しよう。うん。
そのあとオレは割れた窓硝子をダンボールで補強して獄寺くんの寝顔を写メして(一枚につき千円取られた。シャマルに)帰った。
戻ったオレの部屋にはリボーンがいて……ていうか、なんていうかその…リボーンはオレの布団に潜ってもごもご暴れていて。しかもなんかぶつぶつ言い続けていた。
オレはそっと近付いて耳を澄ましてみた。
「…0315614033321272849194418437150696552087542450598956787961303311646283996346460422090106105779458151…」
円周率だった。帰ってからずっと言ってるのかもうどの桁まで行ってるのか分からなかった。
超うぜぇ。
でもこうして見てみると、ああ…本当にいつものスタイルは照れ隠しだったんだなぁ、とか年相応で可愛いかもなぁ、とか思わなくもなかったけど。
けれどそれが延々、しかも寝る時間になっても止まらなかったら本当にうざいだけだった。ていうかオレのベッド返せ。
「オレのファーストキス…!」
知らねーよ!
++++++++++
リボーンも結構純情だったんだね…
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