彼の隣に立つ方法
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オレはあいつに「絶対着いてくるな」と言っていつもの場所へと向かった。…獄寺の病室だ。
獄寺は変わらずここにいた。いつも通りに。開いた窓から入ってくる風に吹かれて。
獄寺は眠っている。あの日からずっと、眠り続けている。
…本来ならば、オレがそうなるはずだったのに。
なのにあいつは、弱いくせにオレなんぞを庇って………
その結果が、これだ。
オレの足は動かなくなり、獄寺は倒れ、周りはおかしくなり、そして獄寺の代わりが作られた。
…そんな結末、誰も望んでなんかいなかったのに。
オレがこうなればよかった。誰もがそれを望んでいた。このオレですら。
「なのにどうしてお前は……」
呟いて、獄寺の頬に手を添える。冷ややかな体温。何の反応もない身体。
獄寺はあの日から目覚めない。
いつまで経っても。何をしても。
だけれど、だからと言って代わりを作っていいはずがない。
それは、ここにいる獄寺を他の誰でもないオレたちが殺す行為なのだから。
たとえ、こいつが二度と目を覚まさないだろうと医師に宣言されていたとしても。
だから、周りは絶望してあいつを作ったのだとしても。
いくら周りがあいつを獄寺だと認めても、オレはあいつを獄寺だとは認めない。
獄寺はここにいる。代わりなど必要ない。
……………。
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