彼の隣に立つ方法
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眩しい。

目を開けて、思わず怯む。世界の明るさ、その白さに。


「………獄寺くん?」


声が聞こえた。どこかで聞いた声…っていうか10代目の声だった。オレの馬鹿野郎、10代目の声を忘れてどうする。


「………っ…、」


じゅうだいめ、とそう言いたかったのだが思いは声になってはくれず、ただ息が漏れただけだった。


「ああ、無茶しないで獄寺くん。落ち着いて」


きゅっと手を握られる。あたたかい手。でも前、また別の手に握られていたような気がする。誰だろう。誰だっけ。大切な人だった気がするのだけれど。

というかオレはどんな経緯を持ってこのような状態になっているのだろうか。記憶を辿る。最後の記憶を見てみる。


……………。


「―――リボーンさん!リボーンさんはご無事ですか!?」

「わ、獄寺くん、無茶しないでって」

「リボーンさん、リボーンさんは………っ、ゲホ、ゴホ、」


声が途中から出なくなり、咽る。何度も咽るうち、喉を通って口から血が出てきた。…なんか嫌な思い出が、あるような、ないような…

いや、そんなことはどうでもいい。今はリボーンさんだ。何はともかくリボーンさんだ。

オレの最後の記憶。リボーンさんと任務。路地での戦闘。撃たれるリボーンさん。オレはリボーンさんへと走り寄って。…そしてそこで記憶は終わっていた。

あのあと一体どうなったのだろう。オレはぶっ倒れたとして、リボーンさんは?


「リボーン?リボーンは…」


10代目は口を開いたが、言葉は出なかった。

何かが振動する音。10代目が懐から携帯電話を取り出して。「ごめん」と一言言って、取った。


「はいはい?どうしたの?」


10代目が誰かと話をする。


「ん…うん、落ち着いて?」


室内が静かなせいか、10代目の電話口の声も聞こえてくる。内容は分からないが、相手はかなり早口で…動揺しているみたいだ。


「え―――あ、そうなんだ、うん」


10代目が一瞬だけ驚いたような、呆けたような顔をする。


「ついさっき?そう、うん。分かった」


10代目は最後に「あとでね」と言って、電話を切った。そしてオレに向き直る。


「獄寺くん、リボーンなんだけど、」

「は、はい」


何故か背筋がピン!と伸びる。そしてそれに身体が着いていけず、痛みに怯む。


「…だから無茶しない獄寺くん。…まぁ、リボーンなんだけど、」

「はい」


10代目は少しだけ間を置いて。オレの方を見て。



「死んだって」



一言。あっさりと。そう言ってのけた。


「さっきの電話で、オレも今知ったんだけど、」


10代目が自分の携帯電話を見る。


「ついさっき、死んだって」


オレはなんとも答えることが出来なかった。