彼の隣に立つ方法
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リボーンさんが死んだ。
オレの目の前で、死んだ。
オレの目から熱いものがぽろぽろと流れる。それは目蓋の閉じられたリボーンさんの顔に掛かった。
オレの手には力の抜けたリボーンさんの手が収まっている。オレが死なないで下さいと懇願しながら、手を握っていたからだ。
リボーンさんは、死んでしまった。
もう長くないと、告げられてはいたけれど。
だからこそ、オレはリボーンさんを騙す決意を固めたのだけれど。
偽者のオレが、本物に成り切る決意を決めたのだけれど。
別れは辛かった。
とても痛かった。身体の内なる部分、胸の奥の辺りがとても酷く痛んだ。それこそ涙が出るほど。
「リボーンさん…」
呼び掛けても、もうリボーンさんは応えてくれない。オレを「獄寺」と呼んでくれない。
閉じられた目蓋が開かれることもない。笑ってくれない。オレをからかうことも、もうしてくれない。
「リボーン、さん…」
と、後ろでドアが開いた音がした。ノックもなしに。誰だろうか。
後ろを向くと、そこには10代目がいた。
「じゅ…だいめ……」
「やぁ」
10代目は片手を挙げて、挨拶してくる。
オレは立ち上がるどころか、会釈すら出来ず、ただ10代目を見ている。
ぽろっとまた目から熱いものが零れた。
「あのね、」
そんなオレのことなどまるで気に掛けず、10代目は声を出す。
「"キミ"に報告があるんだ」
違和感を覚えた。
どことなく、いつもと違うものを感じた。そしてそれが正しいものであることを、すぐに知らされた。
「獄寺くんが目を覚ました」
オレははっとする。目が見開かれる。
「…本物の、ね。ついさっき起きたんだ。タイミング的に…クク、神サマも粋な計らいをするよね。きっとリボーンが死んだのと同時だよ」
10代目がリボーンさんを指差して、オレもリボーンさんを見る。
リボーンさんは酷い熱を出していて、意識も朦朧としているであろう中…一言、「先に行く」とだけ言って、死んだ。
リボーンさんを見ている横で、10代目の声がする。
「というわけで、ごめんね」
ちっとも悪びれてない様子で、10代目の声。
「本物の獄寺くん起きたから。キミ、廃棄」
………リボーンさん。
どうやらオレ、すぐにあなたを追えるみたいです。
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