彼の隣に立つ方法
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いや、違った。鏡が入ってくるわけがない。まずオレとそいつではポーズが違う。
そいつは人間だった。最初鏡と間違えたのは、あまりにも姿形がオレとそっくりだったからだ。
って、違う。
そっくりなのはそいつじゃない。オレの方じゃないか。
「獄寺……隼人………?」
「…本当に…そっくりなんだな」
そいつは本物の獄寺隼人だった。リボーンさんが呼んでいた、リボーンさんが愛した、本物の獄寺隼人。
「10代目から話は聞いた」
静かな声だった。聞き慣れた―――オレの口から出るのと同じ、声。
「勝手に作られて勝手に壊されるらしいな…その辺は、まぁ同情する」
話を聞きたいと、本物の獄寺隼人はそう言った。
自分が倒れてからの話。オレが作られてからの話。………それまでのリボーンさんの話。
オレは包み隠さず全てを話した。リボーンさんは足を悪くして、オレがずっと補佐をしていたこと。リボーンさんは偽者であるオレに嫌悪を抱いていたこと。全てだ。
…無論、オレがリボーンさんを騙し、偽者であるオレが本物の獄寺隼人を演じたことも。全て話した。
獄寺隼人は黙って聞いていた。オレがリボーンさんの足を取ったことを聞いたときは眉を跳ねらせたが、結局黙ったままだった。
全てを聞き終えた獄寺隼人は、暫し考えて………やがて、ふぅと息を漏らした。
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